Blog
不動産を売却するとき、「どれくらい手数料がかかるのか」「仲介手数料以外にどんな費用が必要なのか」といった疑問を多くの方が持ちます。
特に初めて不動産を売る場合、費用の全体像が見えにくく、不安に感じることもあるでしょう。また、不動産会社に仲介を依頼する場合と、直接買い取ってもらう場合(不動産買取)でどちらが得になるのかも気になるポイントです。
こうした悩みにお答えするため、本記事では福島市の不動産売却における手数料や関連費用の相場について、公的データを交えながら分かりやすく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
不動産を売却する際には、さまざまな費用が発生します。以下に主な手数料や費用の種類とその概要をまとめます。
不動産会社に仲介を依頼して売却が成立した場合、成功報酬として「仲介手数料」を支払います。この仲介手数料には法律で上限額が定められており、売買価格に応じて以下のような計算式で求められます。
・売買価格が400万円を超える部分:価格の3%(税込3.3%)
・200万円を超え400万円以下の部分:価格の4%(税込4.4%)
・200万円以下の部分:価格の5%(税込5.5%)
例えば、1,000万円で物件が売れた場合の仲介手数料上限額は約39.6万円(税込)です。一般的にはこの上限いっぱいまで請求されるケースが多く、これが実質的な相場となっています。なお、この手数料には別途消費税がかかる点にも注意が必要です。
また、2024年7月1日より、売却価格が800万円以下の空き家の仲介手数料の上限が33万円(税込み)へと引き上げられました。これは、低廉な空き家等をの流通促進を目的とした国土光津省の取り組みによるものです。
不動産会社による直接買取を利用する場合、間に仲介が入らないため仲介手数料は基本的に発生しません。買取では不動産会社が自ら買主となるため、仲介の成功報酬が不要となるからです。
一方で、買取価格は仲介で一般の買主を探す場合より低め(市場価格6~8割程度)に設定されることが多い点に注意が必要です。
つまり、「早く確実に売れる代わりに売却価格は安め」「手数料がかからない代わりに手取りが少なくなる」というメリット・デメリットの関係になります。
物件の売却に伴い、所有者名義を買主へ変更する所有権移転登記が必要です。登記の際には『登録免許税』という税金がかかり、これは一般に不動産評価額の2%が税額となります。
(ただし、土地の売買による所有権移転登記については、2026年3月31日までの間、特例措置により評価額の1.5%に軽減されています。)
たとえば評価額1,000万円の土地を売却する場合、登録免許税は通常20万円となります(※2026年3月までは土地は15万円に軽減)。この登録免許税は通常買主が負担する慣行ですが、売主としても契約時にその扱いを確認しておきましょう。
また、登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、その司法書士報酬(数万円程度)も必要になります。もし売却物件に住宅ローンの抵当権が設定されていれば、抵当権抹消登記の手続き費用(登録免許税は不動産1件につき1,000円、司法書士報酬1~2万円程度)も発生します。
不動産には毎年1月1日時点の所有者に対して固定資産税(および都市計画税)が課税されます。売買の際、年度途中で所有者が替わるため、売主と買主の間でその年の税金を日割り精算するのが一般的な慣行です。
法律上は1月1日時点の所有者(売主)が1年分を納税する義務がありますが、売却後の期間の税負担を買主が負担する形で清算するケースがほとんどです。
具体的には、引渡し日を境にして、引渡し日までの税金を売主負担、引渡し日以降の税金相当額を買主が負担し、その金額を売買代金と合わせて受け渡す形をとります。この精算金は契約上「固定資産税等精算金」などと明記され、売買契約締結時または物件引渡し時に清算されます。
土地や戸建て物件を売却する場合、土地の境界が不明確なときには境界確定測量が必要になることがあります。隣地との境界標を設置し、面積を確定するための測量で、その費用は売主が負担するのが一般的です。測量費用は土地の広さや形状、隣接する土地の数によって変動しますが、概ね30万~80万円程度が相場となっています。
福島市のように郊外で広めの土地の場合は隣地所有者も多くなるため、費用が50万円以上かかるケースもあります。境界確定はトラブル防止のために重要ですが、すでに境界標が設置されていたり過去に測量図がある場合は新たな測量が不要な場合もあります。
古い建物が残っている土地を売る際、建物を取り壊して更地にしてから売却するケースがあります。その場合、建物の解体費用が発生します。木造住宅の解体費用は建物の規模によりますが、たとえば延べ床面積が33坪(約108㎡)程度の一般的な木造住宅の場合で約150万円前後が目安です。解体費用は構造(木造か鉄骨造など)や建物の大きさ、立地条件(重機が入りやすいか等)によって増減します。
売却後に買主が自ら解体するケースでは売主が負担しない場合もありますが、その分物件価格が差し引かれるのが通常です。また、老朽化した空き家を放置すると固定資産税の住宅用地特例(税額1/6)が外され、税負担が最大6倍になる可能性もあるため、解体して土地だけで売却した方が結果的にコストを抑えられる場合があります。
より良い条件で売却するために、事前にリフォームやハウスクリーニングを行うケースもあります。大規模なリフォームは必ずしも必要ではありませんが、壁紙の汚れを落とす、設備の簡易修繕をするといった小規模な手直しや、専門業者による徹底的な清掃(ハウスクリーニング)を実施すると内覧時の印象が向上します。
ハウスクリーニング費用は依頼する範囲によって異なります。例えばキッチンや浴室、トイレなど水まわりだけをまとめてクリーニングする場合、数万円程度で済むことが多いです
(例:キッチン約1.3万円、バスルーム約1万円、トイレや洗面所は各数千円程度)。家全体のクリーニングを依頼すると広さによっては10万円以上になることもあります。
一方、内装や設備のリフォームはコストが高くつきがちです。投資額に見合った価格アップが見込めないことも多いため、「ここは直しておいた方が売れやすい」というポイントに絞って最低限の手直しを行うのが望ましいでしょう。
なお、売買契約時には印紙税(契約書に貼付する収入印紙代)も必要です。印紙税額は契約金額によって異なり、例えば1,000万円超~5,000万円以下の契約では1万円(軽減措置適用時)となります。この費用は売主・買主の双方が契約書をそれぞれ受け取る場合、それぞれの契約書に印紙を貼る必要があります。
不動産を売却する理由は人それぞれですが、その理由によって注意すべき費用や手数料のポイントも異なります。ここでは代表的なケースごとに、発生しやすい費用や留意点を解説します。
誰も住んでいない空き家を売却するケースでは、まず物件の管理状態を確認しましょう。長期間放置された空き家は建物や設備が劣化していることが多く、売却前に残置物の処分や簡易な修繕・清掃が必要になることがあります。
その際の清掃費用や廃棄物処理費用も売却コストに含めて検討しておきましょう。
老朽化が著しい場合、思い切って建物を解体し更地にして売り出す選択肢もあります。前述のように解体費用はかかりますが、買い手にとって更地のほうが利用計画を立てやすく、結果的に早く売却できたり高めの価格で成約しやすくなるメリットがあります。
また、倒壊の恐れがあるような特定空家に指定されてしまうと固定資産税の軽減措置が外れ税金が跳ね上がるため、早めに処分すること自体がコスト増大のリスクヘッジにもなります。
空き家売却では買い手探しに時間がかかる懸念もありますが、自治体の空き家バンク制度を活用したり、空き家買取専門の業者に相談する方法もあります。空き家バンクとは、福島市が運営する空き家情報の登録制度で、利用登録することで市内で空き家を探している人に物件をPRできます。
一方、買取業者に直接売却すれば仲介手数料は不要となり、遠方在住で管理に通えない場合でも迅速に現金化できる利点があります。ただし前述のとおり買取価格は相場より低めになるため、価格重視かスピード重視かで方法を選ぶと良いでしょう。
親族から相続した土地や家屋を売却するケースでは、まず相続登記(名義変更)を済ませておく必要があります。2024年の法改正により相続登記は義務化され、相続から3年以内の申請が必要となりました。
未登記のままでは売却手続きが進められないため、早めに名義を書き換えておきましょう。相続登記には登録免許税(不動産評価額の0.4%)と司法書士費用がかかります。
相続に伴い取得した不動産を売却する場合、その売却益に対して譲渡所得税が課税される可能性があります。ただし、取得費が相続税評価額となるケースや、相続税を納めている場合の特例計算など、税務面で複雑な部分もあります。
特に留意したいのは税額控除の特例です。被相続人(亡くなった方)が居住していた家屋を相続し、一定の要件を満たして売却した場合には「被相続人の居住用財産の3000万円特別控除」が適用できる可能性があります。
これは、相続した空き家を売却した際の譲渡所得から最高3000万円までを非課税とする制度で、いわば相続空き家版の特別控除です(適用には築年数や耐震性、令和5年12月までの売却など条件あり)。
適用を受けるには福島市に申請して確認書の発行を受ける必要があるため、該当しそうな場合は事前に市役所に相談すると良いでしょう。
なお、売却代金の受け取り先が相続人複数にまたがる場合、遺産分割協議の内容に沿って分配することになります。相続不動産は共有名義になっているケースも多いため、全員の合意が取れているか、手続きの段取りに漏れがないか確認しましょう。
相続登記や遺産分割の手続きに時間がかかると売却のタイミングを逃す可能性もありますので、専門家(司法書士や弁護士)に相談しながら進めることをおすすめします。
現在の自宅を売却して、新たな住まいに移る住み替えの場合、売却と購入をスムーズに繋ぐための計画が重要です。
まず、売却代金が次の住居の購入資金に充当されるケースでは、売却タイミングと購入タイミングの調整が必要になります。一般的には「売り先行」(先に今の家を売って資金を確定させ、その後に新居を買う)か「買い先行」(先に新居を購入し、引っ越してから旧居を売却する)かの二通りがあります。
売り先行の場合、一時的に仮住まいを手配する費用や引越しを2度行う手間がかかります。
買い先行の場合は、一時的に二重で住宅ローンを抱える可能性があり、つなぎ融資の利息負担や旧居の維持費(固定資産税・光熱費等)を売却完了まで負担する必要があります。
それぞれ費用面のメリット・デメリットがあるため、自身の資金計画と照らして選択しましょう。
費用面では、現在の自宅を売る際の仲介手数料や諸費用に加えて、新居を購入する際にも不動産会社への仲介手数料や住宅ローン関連費用(事務手数料・保証料など)、引越し代などが発生します。
売りと買いの両方で費用がかかるため、トータルのコストを把握して資金計画に組み込むことが大切です。
また、現在の自宅が自分の居住用であった場合、売却益に対してマイホームの3000万円特別控除を適用できる可能性があります。これは所有期間に関係なく居住用財産を売ったときに最大3000万円の譲渡益が非課税になる制度で、買い替え時の税負担を大きく軽減できる場合があります。
例えば購入時よりも高く売れて利益が出たとしても、この控除のおかげで譲渡所得税がかからないケースもあります。適用には確定申告が必要なので、忘れずに手続きを行いましょう。
住み替えの場合、売却と購入の両面で同じ不動産会社に依頼することもあります。その際、仲介手数料の割引交渉ができる可能性があります。1社で売りも買いも仲介してもらうわけですから、通常よりも低い手数料率を提案してくれる業者も存在します。ただし、割引の有無は会社次第なので、事前に確認しておくと安心です。
退職後のライフプランや相続対策として、不動産を売却して資産の組み替えや現金化を図るケースもあります。例えば、使わなくなった別荘や貸していたアパートを売却して、管理負担を減らし老後資金に充てる、といったケースです。
資産整理目的で不動産を売却する際に特に注意したいのは税金と運用計画です。自宅以外の不動産(例えば賃貸用の住宅や土地)を売却して利益が出た場合、先述の居住用の特別控除などは基本的に使えず、譲渡益に対して約20%の税金(所得税・住民税)が課されます。
所有期間が5年以下の短期譲渡だと税率はさらに高くなります。思わぬ税額に驚かないよう、売却前に概算の税負担額をシミュレーションしておきましょう。
また、不動産を売って現金化すると相続の際の分割はしやすくなりますが、現金は預貯金として相続税の対象にもなります。場合によっては代替資産への買い替え(例えば収益物件から別の金融商品へ転換するなど)も視野に入れ、トータルで得になるかを検討することが重要です。
複数の不動産を所有している方は、一度に全部を売却すると多額の譲渡益が発生して税負担が大きくなる可能性があります。年度を分けて売却して譲渡所得を分散させる、子どもや孫に生前贈与の非課税枠を活用して資金移転する、など税負担を抑える工夫も考えられます。
資産整理のための売却こそ、事前に税理士など専門家に相談し、最適な進め方を検討するとよいでしょう。
不動産売却にかかる費用は高額になりがちですが、工夫次第で負担を軽減できる場合もあります。ここでは手数料や諸費用を抑えるためのポイントと、その際の注意点をまとめます。
境界測量については、必ずしも売主が単独で全て負担しなければならない決まりはありません。交渉次第では「測量費込みでこの価格」という形で買主にも負担感を持たせずに進めることもできます。また、過去に境界確定済みであれば新たな測量は不要です。
登記費用に関しては、司法書士報酬は自由価格のため事務所によって差があります。複数の司法書士に見積もりを依頼し、適正な価格の専門家に依頼するのも一つの方法です。抵当権抹消登記は自分でも手続き可能ですが、書類の不備なく進めるには専門知識が要るため、無理せず専門家に任せつつ費用交渉だけしてみると良いでしょう。
前述の通り、売却前のリフォームは費用対効果を見極める必要があります。プロによる清掃も、全部屋隅々までやろうとすれば費用がかさみます。
費用を抑えるには、買主に与える印象が大きいポイントに絞って施工することが重要です。例えば「水回りだけクリーニングに出し、その他は自分たちで掃除する」「壁紙の汚れは落とすが全面張替えはしない」等です。
現状のままでも購入希望者が現れる可能性もありますし、買主側でリフォームしたいという場合も多々あります。下手に投資をしすぎず、現況渡し(現状のまま引き渡す)も選択肢に入れて、価格交渉に委ねるのも賢明です。
最終的に、適正な費用で満足のいく売却を実現するには、信頼できる不動産会社の協力が欠かせません。地元の相場に詳しく、費用面でも誠実に対応してくれる業者を選びましょう。複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された販売戦略や見積り費用を比較するのがおすすめです。
その際、仲介手数料の額ばかりに目を向けるのではなく、何にどれだけ費用がかかるのか内訳を丁寧に説明してくれるかを重視しましょう。宅地建物取引業法では重要事項説明などで手数料などの説明義務が課されています。不明点をうやむやにせず明確に答えてくれる会社であれば、安心して任せることができます。
福島市における不動産売却時の手数料相場と費用について、主要なポイントを解説しました。最後に重要な点を整理します。
仲介手数料をはじめ、登記費用や税金、測量・解体費用など、多岐にわたる費用が発生します。事前に一覧にして概算額を出し、売却代金からどの程度差し引かれるかシミュレーションしておきましょう。特に売却後に次の家を購入する場合、手元に残る金額が次の資金計画に直結します。
時間をかけてでも高く売りたいなら仲介、多少安くても早く確実に売却したいなら買取といったように、それぞれメリット・デメリットがあります。仲介では手数料がかかる代わりに広く買主を募集できます。買取では手数料は不要ですが価格が抑えられます。自分の売却目的や優先順位に応じて選択しましょう。
空き家なら早めの処分で維持コスト増を防ぐ、相続物件なら登記や税務の手続きを確認する、住み替えならスケジュールと資金繰りを綿密に計画する、といったように、ケースごとの注意点を踏まえて準備します。必要に応じて専門家の助言も得ながら進めると安心です。
不動産売却は高額取引です。経験豊富で信頼できる不動産会社のサポートを得ることで、余計な費用をかけず、適正な価格で売却できる可能性が高まります。福島市内の実績や公的データに基づくアドバイスをしてくれる業者を選び、疑問点は契約前に解消しておきましょう。
以上のポイントを踏まえて、不動産売却にかかる費用の不安を解消し、納得のいく売却活動を進めてください。事前に情報武装することで、想定外の出費を防ぎ、安心して大切な不動産の売却に臨むことができるでしょう。
もし福島市にお持ちの不動産売却をお考えでしたら、当社WIREDへお気軽にご相談ください。
当社は営業マンとしてではなく、売主様の良きご相談相手として適切な売却方法をご提案させていただきます。
スタッフは全員が福島市出身の宅建取引士の資格を有しており、プロフェッショナルとして真摯に対応させていただきます。
ぜひお気軽にご相談ください。