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近年、少子高齢化や人口減少に伴い、空き家の増加が社会問題となっています。福島市でも空き家対策に力を入れており、不動産所有者や移住希望者に向けて空き家関連の補助金制度を複数提供しています。
本記事では、福島市で現在利用できる空き家に関する補助金制度の種類とそれぞれの申請条件・対象空き家の条件・補助金額など詳細を解説します。
また、申請方法や必要書類、受付期間についても公式情報を基にまとめ、最後に他自治体や国の類似制度との比較も行います。
福島市で空き家をお持ちの方、これから活用を考えている方にとって有益な最新ガイドとなるよう努めました。ぜひ最後までご覧ください。
福島市が現在提供している主な空き家関連の補助制度は、次の3種類です。それぞれ目的や対象者が異なり、組み合わせて利用できる場合もあります。以下で一つひとつ詳しく見ていきましょう。
では、それぞれの制度について目的や補助内容、条件、申請手続きまで詳しく説明します。
「福島市空き家リフォーム支援事業補助金」は、福島市への移住促進と若い世帯の定住支援、さらには空き家流通の活性化を目的として創設された補助制度です。
具体的には、福島市内の空き家(中古住宅)を購入してリフォームする場合に、その費用の一部を市が補助してくれます。移住者や新婚・子育て世帯が空き家を取得して住み始める際の経済的負担を軽減し、「空き家を自分らしい住まいへ再生する」ことを後押しする制度です。
子育て世帯・新婚世帯・移住者を対象に、購入した空き家のリフォーム費用に対する補助金(条件を満たせば最大170万円)が案内されています。
補助を受けられるのは、「空き家を購入した個人」で、以下のいずれかの条件に該当する方です。
上記のいずれかに該当し、市税を滞納していないこと、および暴力団関係者でないことも条件となります。法人や企業は対象外で、あくまで個人の住宅取得・改修支援策です。
補助の対象となる空き家は、1年以上居住その他の使用がなされていない住宅であることが条件です。長期間空き家となっている中古住宅を新たに購入して活用するケースに限られます。
また、申請時点でその購入した空き家に住民票を移していないことも必要です(補助金交付決定前に居住を開始していないことが条件)。これは、補助決定後に改修を行い、その完了後に正式に居住する形を想定しているためです。リフォーム工事の契約は補助金の交付決定後に行う必要があり、それ以前に工事契約を結んでしまうと補助の対象外になります。
さらに、リフォーム工事は福島市内に本店や事業所がある施工業者(法人または住所を有する個人事業主)に依頼することが求められます。地元業者を活用して地域経済にも寄与する観点です。
基本的に、購入した空き家の居住に向けた改修工事が幅広く対象になります。
例えば、老朽化した部分の修繕・補強(基礎・柱・屋根・床・壁など)、間取り変更等の改装、バリアフリー改修、設備機器の更新(キッチンや給湯器、浴室・トイレなど)、内装や外装のリフォーム、さらには断熱改修工事まで含まれます。居住環境を整えるための一般的なリフォームは一通り対象になると考えてよいでしょう。
なお、市のホームページでは対象とならない工事も案内されており、贅沢な設備の新設や家具の購入といった住宅の改修に直接関係しない費用は対象外とされています。詳細は募集要項のPDF等で確認できます。
補助金額は、リフォーム工事に要した費用の2分の1(1/2)が基本です。ただし上限額が定められており、上限は150万円となっています。
たとえば300万円の工事費の場合、本来1/2の150万円が補助額となり上限ちょうどになります。さらに、条件を満たす場合には加算額20万円が上乗せされ、最大170万円まで補助を受けることが可能です。
加算が適用される条件は「リフォーム費用が300万円を超える」かつ「購入した物件が福島市空き家バンクに登録されていた物件」であることです。つまり、市の空き家バンク制度を通じて取得した住宅を大規模改修する場合には、通常150万円までの補助枠が170万円に拡大されるというものです。
このように、空き家バンクを活用した住宅流通を促す狙いも込められています。
補助率が1/2であるため、仮にリフォーム費用が100万円であれば補助額は50万円(1/2の額)となり、200万円なら100万円、300万円なら150万円です。それ以上の工事費用でも補助は150万円が上限ですが、空き家バンク物件で300万円超なら170万円まで受け取れる計算です。
先述のとおり、補助金交付前に工事契約を行わないことや、市内業者に施工を依頼することが条件です。また、補助金の交付を受けた場合、その日から概ね10年間はその住宅に居住することが求められます。
これは短期間で転売したり再度空き家に戻してしまったりしないよう、定住を促すための取り決めです。事情があって途中で転居する場合などは補助金の返還等が生じる可能性もありますので、計画段階で留意が必要です。
加えて、他の補助制度との併用については原則可能ですが、契約が別である場合など条件があります。例えば、国や県の別の補助金や、後述する新婚世帯向け支援金などと組み合わせたい場合は、事前に市に相談することが推奨されています。
毎年度、福島市から定められた申請受付期間内に所定の申請書類を福島市役所へ提出して申請します。
令和6年度(2024年度)の場合、受付件数は約15件(先着順)で、受付期間は令和6年5月1日から令和7年1月31日までとなっていました。2025年1月31日をもって2024年度の申請受付は終了しています。
毎年予算の範囲内で募集が行われ、期限前でも予定件数に達した時点で締め切られる可能性があります。実際、募集枠が限られているため、利用を検討している方は早めに情報収集し、開始直後に申請できるよう準備しておくと良いでしょう。
申請には、公式サイトで公開されている交付申請書(様式第1号)や事業計画書、収支予算書といった所定の様式への記入提出が必要です。
さらに、リフォーム前の住宅の写真(現況がわかるもの)や、改修工事の見積書、物件を購入したことがわかる書類(登記事項証明書や売買契約書の写し)なども求められます。
また、申請者が移住者や新婚世帯等の条件に該当することを証明する書類(例えば住民票や婚姻証明書、子どもの年齢がわかる書類)も必要になるでしょう。これら詳細は市が公表している「手引き」に記載されていますので、事前によく確認してください。
提出された申請書類は市で内容確認が行われ、不備があると受理されません。スムーズな手続きのため、事前に住宅政策課へ書類内容の確認相談を行うことも推奨されています。
申請が承認され交付決定を受けたら、リフォーム工事の契約・着工が可能となります。工事施工中や完了時には適宜、市の担当者による現場確認や報告書提出が必要です。工事完了後、実績報告書を提出し、内容審査の上で補助金額が確定します。
その後、請求手続きを経て補助金が支払われる流れです。補助金受領後は前述のように10年間の居住継続義務がありますので、年度ごとに居住状況の報告を求められる場合もあります。
以上が空き家リフォーム支援事業の概要です。この制度により、条件を満たす方であれば最大170万円の補助を受けられます。福島市で中古住宅の購入・改修を検討している移住希望者や若い世帯の方は、ぜひ活用を検討しましょう。
「福島市空き家清掃支援事業補助金」は、空き家バンクに物件登録を行った空き家所有者を対象に、家財道具の処分やハウスクリーニング費用の一部を補助する制度です。
長年空き家として放置されていた住宅には、多くの家具や不用品が残っていたり、汚れが蓄積していたりすることが少なくありません。それらを整理清掃する費用を市が支援することで、空き家の流通(売却や賃貸への活用)を促進しようという目的です。
空き家所有者にとっては、片付け費用の負担軽減になり、空き家を市場に出しやすくなるメリットがあります。
福島市空き家清掃支援事業の案内チラシ。空き家バンク登録物件の所有者を対象に、清掃費用・家財処分費用の補助(最大10万円)が示されています。
対象となるのは、「福島市空き家バンクに物件を登録した空き家の所有者」です。空き家バンクとは、市が運営する空き家情報登録制度で、売却や賃貸を希望する空き家を登録し、移住希望者等に情報提供する仕組みです。
したがって、本補助金を利用するには、まず所有する空き家を福島市空き家バンクへ登録する必要があります。登録後、その物件に残置する家財の処分や清掃を行う際に補助が受けられるという流れです。
なお、申請者は個人(所有者本人)に限られ、企業や法人名義では利用できません。また、こちらも市税の滞納がないこと、暴力団関係者でないことが前提条件となっています。
補助対象となるのは、空き家バンクに登録された住宅そのものに関わる清掃・処分費用です。
具体的には、空き家内に残っている家具や家電、生活用品など家財道具の処分費用(家電リサイクル法の対象家電の処分費用も含む)や、専門業者によるハウスクリーニング費用が補助対象経費になります。
例えば、長年放置され埃やカビだらけの室内清掃、不要なタンスや布団、家電の廃棄処分などがこれに該当します。
注意点として、清掃補助の対象は居宅部分のみで、物置や車庫など居住以外の部分の清掃は含まれません。また、庭木の剪定や草刈りといった屋外の環境整備費用もこの補助の対象外です(後述の解体補助でも樹木伐採は対象外でした)。
要するに、空き家バンクに出す住宅を居住可能な状態にするための室内清掃と不用品処分が支援対象となります。
補助金額は、清掃および処分に要した費用の2分の1(1/2)となります。上限額は10万円までと定められています。
例えば、不用品処分とハウスクリーニングに合計12万円かかった場合、1/2の6万円が補助されます。20万円かかった場合は1/2で10万円となりますが、上限の10万円に達するためそれ以上は補助されません。したがって、補助額の最大は10万円です。
比較的少額に見えますが、清掃業者や廃棄物処理の費用の一部を公費で負担してもらえるのは、所有者にとって大きな助けとなるでしょう。
こちらもリフォーム補助金と同様、福島市内に事業所を有する業者に依頼することが条件です。地元の便利屋・清掃業者・産廃業者などに依頼して実施してください(県外業者や無許可業者への依頼分は補助対象経費と認められません)。
また、補助金の交付決定前にすでに清掃や処分を契約・実施してしまった場合は対象外となります。必ず、市に申請し交付決定通知を受け取ってから作業に着手するようにしましょう。
空き家バンク登録が前提のため、まず登録手続きを済ませる必要があります。登録には物件情報の提供のほか、場合によっては安全性の確認(耐震や衛生面)など条件を満たす必要があります。
登録と補助金申請を並行して進める場合は、住宅政策課や空き家バンクの窓口で段取りを相談するとスムーズです。
令和6年度の実施では、受付件数は5件程度(先着順)と定められ、令和6年5月1日から令和7年1月31日までが申請受付期間でした。
こちらも2025年1月31日をもって受付終了となっています。件数が少ないため、年度当初の早い段階で枠が埋まってしまうことも考えられます。補助を希望する場合、空き家バンクへの登録手続きを急ぎ、募集開始と同時に申請できるよう準備しておきましょう。
なお、同一物件についてこの補助金が使えるのは基本的に1回のみです。他年度に繰り越して再度申請することはできませんので、十分な清掃計画を立てた上で申請することが重要です。
申請には、所定の交付申請書や事業計画書、収支予算書、写真貼付台紙(清掃前の状況を示す写真を貼る書類)などを提出します。加えて、空き家バンク登録の証明(登録完了通知等)や、依頼予定の清掃業者の見積書、不用品のリストなどを求められる場合があります。
申請手続きの詳細は市の公開する手引きに記載されていますので、事前によく確認しましょう。こちらの制度についても、申請書類の事前確認サービスがありますので、不備が不安な場合は担当課に相談すると安心です。
交付決定後、清掃・処分作業を実施します。作業前後で写真を撮影しておき、補助金の実績報告書にて「どのような不用品をどれだけ処分したか」「どの範囲を清掃したか」を報告する必要があります。
業者からの請求書・領収書も証拠書類として提出し、その内容に基づき補助額が確定します。清掃が完了すれば空き家の状態は大きく改善するため、その後の売却活動も進めやすくなります。
以上が空き家清掃支援事業補助金の内容です。最大10万円と額は限られますが、不用品の処分費用などは意外とかさむため、上手に活用して負担軽減を図りたいところです。
空き家を「片付けてから売りたいが費用が心配」という所有者の方は、この制度を活用してみてください。
「福島市特定空家等除却支援事業補助金」は、放置すると倒壊など著しく危険となる恐れのある空き家、いわゆる「特定空家等」に該当する建物の解体撤去費用の一部を補助する制度です。
空き家対策特別措置法に基づき、市町村が「特定空家等」に認定した物件は、行政代執行や固定資産税の優遇解除などの措置対象となりますが、福島市では所有者自ら除却(取り壊し)する場合に費用面の支援を行っています。老朽危険空き家を減らし、地域の生活環境の保全を図ることが目的です。
特定空家等とは、「このまま放置すれば倒壊等著しく危険となる状態の空き家」を指し、建物の腐朽・損傷が激しいものや周囲に悪影響を及ぼしているものが該当します。
福島市では現地調査のうえ、近隣への影響も含め総合判断して特定空家かどうか判定します。その判定には専用のチェックリストを用いるとされ、客観的な基準で危険度を評価します。
補助対象となるのは、特定空家等に指定された空き家の所有者です。個人の所有者であること(企業や法人は対象外)や、共有名義の場合は所有者全員の同意が必要です。
また、建物と土地の所有者が異なる場合(借地上の建物など)は、土地所有者の同意も求められます。さらに、市税の滞納がないこと、暴力団関係者でないことは他の補助と同様の条件です。
要は、その危険空き家を適法に解体撤去できる立場の人でなければ申請できません。他人所有の空き家を勝手に壊すことはできないため、相続登記が未了の場合などは事前に所有関係をはっきりさせておく必要があります。
対象となるのは、先述の特定空家等に認定された空き家の除却(解体)工事です。木造家屋に限らず構造は問いませんが、原則住宅用途の建築物でしょう。解体後は更地にすることが条件で、建物の基礎も含めて完全に撤去する必要があります。
補助の対象となる経費は、建物本体の解体工事費および廃材の処分費等です。ただし、敷地内の樹木の伐採や、建物内外に残置している動産(家財道具や車両等)の撤去処分費は対象外と明記されています。
したがって、建物を取り壊す前に家財等が残っている場合は、所有者負担で撤去しておく必要があります(この点、前述の清掃支援補助金等もうまく活用できるかもしれません)。
解体工事についても、福島市内に事業所を有し、建設業許可または福島県知事登録を持つ解体業者へ発注することが求められます。無許可の違法業者で解体した場合は補助どころか行政処分の対象になりますので注意してください。
また、この補助も交付決定前に契約・着手した工事は認められません。必ず補助金申請→交付決定を経てから解体に取り掛かりましょう。
補助率は他の補助より高く、解体工事費の5分の4(80%)とされています。上限額は150万円までです。例えば解体費用が100万円なら80万円補助、150万円なら120万円補助となります。
解体費用が187万5千円以上であれば補助額はちょうど150万円(上限)となり、それ以上費用がかかっても補助金は150万円止まりです。
ただし実際の交付額算定には注意点があり、「解体業者に支払った額」と「国土交通大臣が定める標準除却費で算定した額」を比較し、低い方の金額の80%(上限150万円)が採用されます。
これは、仮に相場とかけ離れた高額費用をかけても補助金が青天井にならないようにする仕組みです。国が定める標準除却費とは建物の構造や規模ごとに平均的な解体単価を定めたもので、それを基に算出した想定額です。
例えば実際の支払いが200万円でも標準費用が180万円なら、その80%の144万円が補助額となります(上限内)。逆に業者との契約額が標準費用より低ければ、その実支出額の80%が補助額となります。
通常は相場内であれば実費の80%で上限150万という認識で問題ありませんが、大規模住宅で費用が大きく上振れする場合などは標準費用による制限が効く可能性があります。計算方法の詳細は市の案内ページに参考資料があります。
老朽危険空き家の除却補助は、令和6年度の場合4件程度が募集枠とされました。予算の関係で年間数件のみの採択となるため、応募多数の場合は危険度の高いものから優先して選定される旨が示されています。
つまり、応募したすべての案件が補助を受けられるわけではなく、倒壊の恐れが著しい空き家がある場合には、そちらが優先されることになります。
また、申請には事前に建物が特定空家に該当するか市の確認を受ける必要があります。令和6年度は事前相談期間が5月1日~5月31日まで設けられ、この期間中に住宅政策課へ相談申し込みをした上で現地確認が行われました。
5月末までに事前相談を済ませ、特定空家等と判定されたものだけが正式な補助申請に進める流れです。2024年5月31日をもって令和6年度の事前相談受付は終了しています。おそらく今後も同様に毎年春頃に募集が行われる見込みですが、詳しくは福島市の告知をご確認ください。
事前相談で特定空家等と認められた場合、改めて補助金交付申請の手続きを行います。申請には、交付申請書のほか事業計画書、収支予算書といった書類の提出が必要です。
また、解体しようとする空き家の登記事項証明書や、土地・建物所有者全員の同意書(共有者がいる場合)、申請者が複数なら代理人の委任状なども求められます。
事前相談時には立入同意書や物件の写真提出が必要でしたが、申請段階でも改めて詳細資料を揃える形です。申請様式や手引きは市のホームページからダウンロードできます。
申請後、審査を経て交付決定通知が出たら、解体工事の契約・着手が可能になります。工事中は安全対策を徹底し、完了後には実績報告書とともに工事の写真(解体前・途中・後)や産業廃棄物の処理証明書、領収書などを提出します。
市で内容確認後、確定した補助金額の交付請求を行い、補助金を受領する流れです。解体後の土地はきれいにならし、更地として管理してください。建物滅失登記など法的な手続きもお忘れなく。
老朽化した空き家は倒壊や火災のリスクがあるだけでなく、景観を損ね地価にも悪影響を及ぼします。しかし解体には多額の費用がかかるため放置されがちでした。
この補助金を利用すれば最大150万円、費用の8割もの手当てが受けられるため、自己負担を大幅に減らして危険空き家を除去できます。
例えば解体費用が200万円のケースでも、標準費用内であれば自己負担は50万円程度で済む計算です。補助の対象に選ばれるには事前の審査が必要ですが、対象となる空き家をお持ちの方は近隣住民の安全安心のためにも積極的に相談してみる価値があります。
上記3つが福島市独自の空き家関連補助金ですが、空き家の発生抑制・流通促進のための制度は他にもあります。ここでは補助金ではありませんが、空き家所有者・利用者に関係する代表的な制度をいくつか紹介します。
福島市では空き家の売却・賃貸をマッチングする「空き家情報バンク」を運営しています。登録は無料で行え、登録物件には前述の清掃補助やリフォーム補助(購入者側)が適用になるメリットがあります。
空き家をお持ちで活用や処分に困っている方は、まず空き家バンクへの登録を検討しましょう。公式サイトや市役所窓口で手続き案内を受けられます。
空き家補助金ではありませんが、福島市では結婚に伴う新生活支援策として住宅取得や引越し費用の補助制度があります。
新婚世帯等(婚姻後5年以内かつ夫婦年齢が若い世帯等が対象)に対し、住宅購入費用・リフォーム費用の一部(実費のうち最大30万円)や賃貸入居時の初期費用・引越費用(最大15万円)などを支援するものです。空き家を購入して新居とする場合、この補助金を併用できるケースがあります。
例えば、先のリフォーム補助金(最大170万円)と合わせ、新生活支援補助金でさらに30万円受け取れば、合計200万円を超える支援も可能です(併用には条件がありますので事前相談が必要です)。
新婚・子育て世帯が空き家を取得する際は、こちらの制度もあわせてチェックしてみてください。
国土交通省・財務省による税制上の特例措置で、一定の要件を満たす空き家を売却した際に譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります。
正式には「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」で、相続により取得した空き家を相続後3年以内に売却する場合に適用されます。対象となるには、被相続人が亡くなる直前まで一人暮らしをしていた住宅であること、昭和56年(1981年)以前に建築された耐震性の低い家屋であること、そして売却までに除却(解体)または耐震リフォームを行うこと等の条件があります。
適用されれば譲渡益から最大3,000万円が非課税となるため、相続した古い実家を売却する際には大きな節税メリットがあります。
福島市でもこの制度を利用する際に必要な「被相続人居住用家屋等確認書」の発行業務を行っています(申請先:住宅政策課)。該当しそうな方は市や税務署に確認してみてください。
福島県や福島市には、空き家に限らず一般の住宅リフォームや耐震改修、省エネ改修、新築等に対する補助・支援制度もいくつか存在します。
例えば、省エネルギー住宅改修補助(断熱改修への補助)や耐震診断・改修補助、バリアフリー改修補助、融資利用者への利子補給制度などです。空き家活用と合わせてこれら一般住宅向け制度を利用できる場合もあります。
補助要件の重複に注意しながら、使えるものは積極的に活用すると良いでしょう。福島市は住宅支援策の情報をまとめたページも公開していますので、参考にしてください。
以上のように、空き家そのものへの直接的な補助金以外にも、住まいや暮らしに関する支援策が多様に用意されています。ご自身の状況に応じて、適切な制度を組み合わせることで経済的負担を大きく軽減できる可能性があります。
福島市の空き家関連補助制度は全国的に見ても充実している部類ですが、他の自治体や国にも類似した取り組みがあります。それぞれ対象や条件、金額に特徴がありますので、いくつか比較してみましょう。
福島県では「住んでふくしま空き家対策総合支援事業」という補助制度を市町村向けに展開しており、各自治体が創意工夫を凝らした補助事業を実施しています。
福島市の先述の3事業(リフォーム・清掃・除却)はこの県補助事業を活用したものですが、他市町村ではまた違った切り口の制度もあります。
郡山市
郡山市では空き家を地域コミュニティのために活用することに重点を置き、「郡山市空家地域活用支援事業補助金」を実施しています。
この制度では、空き家を交流施設や体験学習施設など地域の公益的施設に改修する場合に、その費用を3分の2、上限100万円まで補助します。
ただし改修後10年以上その用途で使うことが条件であり、新たな居住のためというより地域再生のための空き家活用支援となっています。
対象者も空き家所有者やその相続人、または所有者から借り受けて活用しようとする人などで、居住支援とは異なる枠組みです。福島市が個人の居住・定住支援を重視しているのに対し、郡山市は空き家をコミュニティ資源として活かす方向の支援と言えます。
いわき市
いわき市では、空き家バンク活用の促進に独自の支援策を講じています。「いわき市空き家バンク活用支援事業補助金」は、
(1)空き家バンクに登録するための相続登記等費用に上限5万円、(2)空き家バンクを通じて取得・賃借した住宅の改修費用に上限50万円を補助する制度です。
特徴的なのは(1)の部分で、空き家の所有者が亡くなって相続登記していないケースなど、権利関係の整理費用に対して補助を出す点です。これにより、相続人が費用負担を理由に空き家を放置するのを防ぎ、空き家バンクに物件提供しやすくしています。
また(2)は購入者・借受人側への改修補助で、福島市の170万円補助に比べ額は小さいですが、条件の制限が少なく幅広い空き家利活用者が対象となっています。このように、一つの自治体で所有者側・利用者側双方に補助メニューを用意している例と言えるでしょう。
川俣町
福島市の近隣の川俣町では、移住者向けに非常に手厚い支援を行っています。例えば「川俣町空き家改修等支援金」では、県外からの移住者が定住目的で空き家を購入して改修・片付けする場合、最大250万円の支援金を交付しています。
この制度では、改修および片付け費用のうち30万円を超える部分について2分の1相当額を補助し、上限を250万円としています。特に片付け費用のみの場合でも上限50万円(5万円超過分の補助)と手厚く、地方への移住を強力に後押しする内容です。
福島市のリフォーム補助170万円と清掃補助10万円を合わせても最大180万円ですから、川俣町の250万円は際立っています。
ただし対象が「県外からの移住者」に限られるなど、人口流入策の一環であり、より条件を絞って高額支援している形です。
福島市の場合、県内外を問わず市外からの移住者や市内在住でも新婚・子育て世帯も対象である代わりに補助額を抑えているのに対し、川俣町は対象を県外移住者に限定する代わりに上限額を大きくしている点が相違します。
このように、同じ福島県内でも自治体ごとに空き家補助の設計はさまざまです。都市部ほど定住促進(住宅取得支援)型、地方部ほど移住促進や空き家バンク活用型、高額支援型の傾向が見られます。それぞれの地域課題に即した制度になっているのが興味深い点です。
空き家対策補助は全国各地で行われています。例えば、東京都府中市では老朽危険空き家の除却費用の一部補助(上限50万円)を実施していますし、埼玉県秩父市では空き家バンク成約物件のリフォーム費用を最大100万円補助する制度があります。
長野県の一部自治体では、移住者が空き家バンクから住宅を取得した場合に引っ越し費用や家電購入費まで支援するケースもあります。
自治体規模や財政によって補助額・範囲は様々ですが、総じて地方ほど高額で幅広い補助、都市部ほど対象を絞ったピンポイント補助が見られます。福島市は地方都市としては比較的人口規模もあるため、中間的な手厚さと言えるでしょう。
国そのものが直接個人に補助金を出す制度は限定的ですが、自治体への交付金(財政支援)という形で各地の空き家補助制度を後押ししています。
前述の福島県の補助事業も、国の交付金を原資に県と市町村が費用を負担しあう仕組みです。これにより、空き家リフォーム補助などは実質的に国・県・市で費用を分担して支援していることになります。
また、国土交通省は空き家の発生抑制策として前述の3,000万円特別控除のような税制優遇措置を整備したり、老朽住宅の除却に関するガイドライン策定、NPOによる空き家再生プロジェクトへの助成など間接的な支援も行っています。
さらには、2023年度の税制改正では空き家特例の適用期限延長・要件緩和(老人ホーム入居も対象化、売却後の解体猶予期間設定)なども行われ、空き家問題に総合的に対応しようという姿勢が見られます。
住宅金融支援機構によるリフォームローンの低利融資やフラット35リノベのような制度もあり、空き家活用に利用可能です。国の直接的な補助金こそありませんが、こうした制度をうまく組み合わせれば事実上の補助効果を得られるでしょう。
以上を踏まえると、福島市の空き家補助制度は「移住者・若年世帯の定住支援」「空き家バンク活用支援」「危険空き家の除却支援」という3本柱で、空き家問題への対応をバランス良く網羅していると言えます。
他自治体ではこのうち一つに特化していたり、逆に手が及んでいない分野があったりしますが、福島市は流通促進から予防策まで揃えています。
補助金額面でも、リフォーム最大170万円・解体最大150万円は一般的な市の制度として十分高水準です(例えば前述の秩父市100万円、宇都宮市100万円程度と比較しても遜色ありません)。清掃補助10万円は珍しい制度で、空き家バンク登録インセンティブとして有効に機能しています。
他方、川俣町のような極めて高額な移住支援金と比べれば額は控えめですが、対象者を広く取っている分、より多くの人が利用しやすい設計とも言えます。
利用者の立場からは、「自分のケースでどの制度が使えるか」を見極めることが重要です。例えば、市外から福島市に家族で移住し空き家を買って直す場合、リフォーム補助170万円+新生活補助30万円+税制特例(条件合えば)といったフル活用が可能です。
一方、市内在住で実家が空き家になっている場合は清掃補助や除却補助、あるいは売却時の税控除が関係してくるでしょう。福島市の制度は組み合わせても利用できますので(要事前確認)、最大限活用して負担軽減につなげましょう。
福島市では、空き家を「住める家」に再生するためのリフォーム補助、空き家を「売れる状態」にするための清掃補助、空き家を「安全に除去」するための解体補助と、空き家の状況に応じて選べる支援策が用意されています。
これらの補助金は所定の要件を満たせば大きな経済的支援となり、放置しがちな空き家問題を解決する追い風となるでしょう。
制度を利用する際は、最新の募集情報を福島市公式サイトで確認し、期限内に必要書類を整えて申請することが大切です。
補助金は年度ごとに募集時期や件数が決まっており、先着順の場合は早めの行動が肝心です。また、市の住宅政策課(空き家対策係)では事前相談にも応じています。
要件に該当するか判断がつかない場合や、申請書の書き方に不明点がある場合など、遠慮なく問い合わせてみましょう。担当窓口の連絡先は以下のとおりです。
福島市 都市政策部 住宅政策課 空き家対策係
住所:福島市五老内町3-1(福島市役所 本庁舎)
電話:024-573-2751(受付時間:平日8:30~17:15)
空き家は放置するとデメリットだらけですが、手を入れれば新たな住まいとして甦らせたり、更地にして土地を有効活用したりといった可能性が開けます。福島市の補助金制度を上手に活用して、空き家を負動産から「資産」へと転換してみませんか。
適切な支援を受けながら対策を進めることで、皆様の負担も減り、ひいては地域全体の空き家問題解消につながっていくことでしょう。ぜひ本記事の情報を参考に、空き家対策の第一歩を踏み出していただければ幸いです。
もし空き家の売却でお困りの際には、福島市の不動産売却専門の不動産会社、当社WIREDへご相談ください。
当社スタッフは全員が福島市出身で、地域の不動産事情に精通しています。
また私たちは単なる営業マンではなく、良き相談相手になることを目指して日々活動しております。
空き家の売却や活用について悩まれている方には、豊富な経験と実績を基に、一人ひとりの状況に合わせた丁寧なアドバイスをご提供いたします。
空き家対策でお悩みの際は、ぜひWIREDにお気軽にご相談ください。地域に根ざした確かな実績と信頼でサポートいたします。