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不動産(土地や家屋)を相続する際、「何から始めれば良いのか」「税金や手続きは大丈夫か」と不安に感じる方は少なくありません。特に福島市で親の土地や家を引き継ぐ方にとって、相続は初めての経験で戸惑うことも多いでしょう。
さらに2024年4月から相続登記(不動産の名義変更)が義務化されるなど制度も変化しており、最新情報に基づいた対策が必要です。
本記事では、福島市の不動産相続対策について、相続税の負担軽減策、不動産売却時のトラブル回避策、必要な法的手続き、そして福島市の不動産市況データまで網羅的に解説します。 早めの準備と正しい知識で、「相続」を「争族」(争いのある相続)にしないように備えましょう。
相続対策の大きな柱の一つが相続税の節税策です。まずは相続税がかかるケースを把握し、必要に応じて各種制度を活用しましょう。
相続税には一定額の非課税枠(基礎控除)があり、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」までの遺産には相続税がかかりません。
例えば配偶者と子2人なら法定相続人3人なので、4,800万円までは非課税です。
実際、相続税が課税されるのは全体の約1割程度(令和4年で9.6%)に過ぎません。まずはご自身の遺産総額がおおよそこの基礎控除内に収まるか確認しましょう。超える場合は次の対策を検討します。
生前贈与とは、被相続人が存命中に財産を贈与しておくことです。毎年110万円までの贈与であれば贈与税が非課税となるため、長期的に活用すれば相続時の課税財産を減らす効果があります。
贈与の累計額が大きい場合には「相続時精算課税制度」を利用する方法もあります(一定額まで贈与時にまとめて控除し、相続時に精算)。ただし2024年以降、贈与税と相続税の一体化が進み制度が変わる点にも注意が必要です(同一年中に複数人から贈与を受けた場合の控除の按分など)。
計画的に贈与を活用する際は税理士に相談すると安心です。
生命保険金は「法定相続人×500万円」の非課税枠が設けられており、相続財産とは別扱いで受け取れます。例えば法定相続人が3人なら1,500万円までの保険金は相続税がかかりません。
生命保険を活用することで、現金を効率よく遺すとともに相続税対策になる場合があります。ただし保険金の受取人の指定方法や契約内容によって効果が変わるため、専門家と検討することが大切です。
被相続人の居住用や事業用の宅地を相続する場合、一定の要件を満たせば相続税を計算する際の評価額(課税評価額)を最大80%減額できる制度があります。特に自宅の土地については330㎡までを上限として評価額を80%減額可能で(小規模宅地等の特例)、例えば200㎡の自宅土地ならその評価額は実質20%分だけで済む計算です。
この特例を適用すれば、不動産が遺産に占める割合が大きい場合でも相続税負担を大幅に軽減できます。要件として相続人が引き続き住むことなど条件がありますが、該当しそうな場合はぜひ活用しましょう。
配偶者が相続する財産については、法定相続分または1億6千万円までは相続税が非課税となる特例があります(配偶者控除)。
実質的に配偶者に対する相続税は大幅に優遇されており、配偶者が全財産を相続する場合ほとんど税がかからないケースも多いです。ただし二次相続(配偶者死亡時)まで見据えた分配を考える必要があります。
配偶者控除に甘えて全て配偶者に遺すと、後で子に相続させる際に基礎控除枠が減り税負担が増える可能性もあるため、二次相続も見据えてバランスよく遺産分割を検討しましょう。
これらの対策を組み合わせることで、法定の非課税枠や特例を最大限に生かし、相続税の負担をできるだけ抑えることができます。
相続税は制度が複雑なため、「自分のケースでどの特例が使えるか分からない」という場合は相続に強い税理士等の専門家に相談し、最新の税制に沿ったアドバイスを受けると安心です。
相続した不動産を売却する際には、事前にトラブルを防ぐ対策をしておくことが重要です。特に親族間の揉め事や税務上の手続き漏れは注意すべきポイントです。以下に、売却時に起こりがちなトラブルとその回避策をまとめます。
不動産は金額が大きく分割も難しいため、相続人同士で「誰が何をどれだけ相続するか」でもめるケースが多くあります。避けるためには、遺言書の準備や事前の話し合いが有効です。
被相続人が公正証書遺言を残しておけば法定相続人間の取り決めが明確になり、遺産分割協議の手間や争いを減らせます。また、生前に家族で相続について話し合いの場を持ち、希望を共有しておくことで「こんなはずじゃなかった」を防げます。
特に不動産は「長男が自宅を相続、次男は現金を相続」といった形で代償分割(現金で調整)することも多いため、専門家を交えて公平感のある分配プランを練っておくと良いでしょう。
相続でもらった家や土地を売るには、まず相続登記(名義変更)を済ませて自分名義にしておく必要があります。
前述の通り2024年から相続登記が義務化され、放置すると罰則(過料)の可能性もあります。義務化に伴い、今後は登記をせずに売却することはできませんし、名義が故人のままだと買い手も付きません。
また、不動産に抵当権(ローンの担保)などが残っていれば抹消しておく、境界が不明確な場合は事前に確定させておく(測量や境界確認)など、権利関係の整理も重要です。
これらを怠ると、いざ売却契約の段になって手続きが進まなかったり、価格交渉で不利になったりします。相続したら早めに登記申請を行い、法務局で権利関係をクリアにしておきましょう。
相続した家が空き家の場合、そのまま放置すると建物が老朽化して資産価値が下がるだけでなく、近隣への悪影響(景観や治安上の問題)から行政指導の対象になることもあります。
福島市でも空き家対策が進められており、適切な管理が求められます。遠方に住んでいて管理が難しい場合や利用予定がない場合は、思い切って早めに売却や利活用(賃貸や解体して土地活用)を検討するのが得策です。
市場環境も見ながら、適切なタイミングで売却することで無用な維持費(固定資産税や管理コスト)を抑えられます。売却の際は、相続登記や必要書類の準備に時間がかかることも考慮し、早めに不動産会社へ相談しておくとスムーズです。
相続した不動産を売って利益(譲渡所得)が出た場合、所得税(譲渡所得税)や住民税が課税されます。
不動産を取得してから売却するまでの所有期間によって税率が異なり、5年以下の短期所有なら所得税30%、5年超の長期所有なら15%という税率が適用されます(別途住民税は5年以下で9%、5年超で5%)。
相続後すぐ売却するケースでは多くが短期譲渡扱いとなりますが、取得費や諸経費は譲渡価額から差し引けるため、購入時より高く売れなければ税金は実質ゼロになる場合もあります。
いずれにせよ確定申告が必要で、利益が出たのに申告しないと無申告加算税や延滞税といったペナルティが科されてしまいます。特例控除(居住用財産の3,000万円特別控除など)を受けるためにも確定申告は必須です。
「利益が出ていないから申告不要」と自己判断して放置すると脱税と見なされるので注意してください。売却した翌年の2月16日~3月15日が確定申告期間ですので、必要書類(譲渡契約書、登記簿謄本、経費領収書等)を揃えて期限内に申告を行いましょう。
以上のポイントに留意することで、相続不動産の売却に伴うトラブルの大半は事前に防げます。
特に複数の相続人で共有状態の不動産を売る場合は、一人でも手続きに非協力的だと進まないため、事前の合意形成(遺産分割協議書を作成しておく等)と専門家の仲介(不動産会社や弁護士への相談)が重要です。円滑な売却は相続人全員の利益にもつながるため、情報共有と協力体制をしっかり築きましょう。
相続対策として、不動産を含む遺産全体の手続きの流れを把握しておくことも大切です。特に不動産が絡む場合、法律上の届け出や書類準備が必要になる場面があります。ここでは一般的な相続手続きのステップを整理し、要所での注意点を解説します。
相続対策の第一歩は、被相続人の財産目録を作ることです。預貯金、不動産、有価証券、車、貴金属、負債(借入金や未払税金)など、プラスの財産もマイナスの財産も含めてリストアップします。
特に不動産は評価額が大きいため、市役所や固定資産税の納税通知書などから評価額を確認しましょう。所有不動産が複数ある場合は漏れなく洗い出します。この資産の棚卸しによって遺産総額の概算が掴め、相続税の有無や分割方法の検討材料になります。
評価額の高い不動産を相続して基礎控除を超えそうなら前述の節税策を検討する、といった判断もしやすくなります。
次に戸籍謄本を取得して法定相続人を確定させます。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、および相続人全員の現在戸籍が必要です。福島市役所などで戸籍謄本を請求しましょう。相続人関係を洗い出すことで、遺産分割の当事者が誰か明確になります。万一、認知されていない子がいないか、養子縁組をしていないかなど戸籍で確認できます。
相続放棄(借金が多い場合等に家庭裁判所で相続権を放棄する手続き)を検討する方がいる場合も、この段階で3ヶ月以内に判断します(相続放棄は自己のために相続が開始したと知ったときから3ヶ月以内が期限)。
不動産に関しては、相続放棄する人がいると持分調整が必要になるため、早めに意思を確認しておくと良いでしょう。
被相続人が遺言書を残していた場合、公正証書遺言であれば市役所や公証役場で、自筆証書遺言であれば家庭裁判所の検認を経て、その内容に従って財産を分けます。
遺言が無い場合や遺言で指定されていない財産がある場合、相続人全員で遺産分割協議を行い誰が何を相続するか決めます。不動産は共有にすると後々管理や処分が難しいため、できるだけ単独所有者を決める形で分割するのが一般的です(例えば長男が土地を相続、次男は金融資産を相続など)。
話し合いがまとまったら遺産分割協議書を作成し、全員が実印で署名押印します。この協議書は不動産の相続登記や金融機関の名義変更手続きに必要となる大切な書類です。揉めそうな場合は弁護士や司法書士など中立的な専門家にファシリテーションを依頼することも検討しましょう。
遺産分割の内容が決まったら、速やかに相続登記(不動産の名義変更)を行います。福島市の不動産の場合、福島地方法務局で申請手続きをします。
必要書類は、被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本・住民票除票、相続人全員の戸籍謄本・住民票、遺産分割協議書(または遺言書)原本、対象不動産の固定資産評価証明書などです。2024年4月以降は相続発生から3年以内に相続登記を申請しないと過料の対象となり得ますので注意してください。
手続き自体は司法書士に依頼することもできます。また、不動産以外にも預金口座の名義変更や有価証券の名義書換、自動車の移転登録など必要に応じて各機関で手続きを進めます。
相続税が発生する場合は相続開始から10ヶ月以内に相続税申告と納税を税務署で行います。土地評価や特例適用など相続税申告は複雑なので、税理士に依頼するケースが多いです。以上のような諸手続きをすべて完了すれば相続手続きは完了となります。
上記が大まかな流れですが、ケースによって順序や内容が前後することもあります。
例えば、不動産を相続後すぐに売却する場合は、買い手への所有権移転を円滑に行うため相続登記→直ちに売却登記という手続きになります。
また、相続人に未成年者がいる場合や認知症の配偶者がいる場合などは家庭裁判所の関与(特別代理人の選任や成年後見人の検討)が必要になることもあります。状況が複雑なときほど専門家の助言を仰ぎ、法律に則った適切な手続きを踏むようにしましょう。
相続対策や手続きは一人で悩まず、専門家や公的機関のサポートを積極的に活用しましょう。福島市および福島県内には、相続に関して無料または低費用で相談できる窓口が多数用意されています。
福島市では法律相談(相続相談)を定期的に実施しており、弁護士や司法書士に無料で相談できます。平日の日中に予約制で行われることが多いので、市役所ホームページや広報誌で日程を確認してみましょう。相続登記や遺言書作成などについてアドバイスをもらえます。
福島県司法書士会では相続登記に関する無料相談会、行政書士会では遺言や相続手続き全般の相談会を開催しています。専門士業団体主催の相談会では、書類作成のポイントや手続きの流れを教えてもらえるため、自分で手続きを進めたい方にも心強いです。
福島市内の福島税務署では、相続税申告に関する無料相談窓口があります。また東北税理士会福島支部でも、相続税や贈与税について税理士が応じてくれる無料相談日を設けています。相続税の試算や申告書の書き方、節税の可否など具体的な税務相談が可能です。
信託銀行・FPなどの専門相談
相続財産が多岐にわたる場合や、家族信託・不動産有効活用など高度な対策を検討したい場合は、信託銀行の相続相談窓口や独立系のファイナンシャルプランナー(FP)に有料相談する方法もあります。特に家族信託は認知症対策や財産承継に有効ですが専門知識が必要なため、信託業務に強い専門家の力を借りると良いでしょう。
これら公的窓口や専門家への相談を利用することで、自分では気づかなかった対策や手続き上の注意点を知ることができます。また、不動産会社や不動産鑑定士も相続不動産の評価や売却相談に乗ってくれます。
信頼できる専門家を選ぶ際は、実績や資格はもちろん、相談しやすさや丁寧さも含めて総合的に判断しましょう。
専門家に依頼する費用はかかりますが、誤った手続きや争いによる損失を防ぐ保険と考えれば安いものです。
特に相続税申告や不動産の分割は一度決まるとやり直しが難しいため、プロの知見を借りて慎重に進めることをお勧めします。「こんなこと相談していいのかな?」という内容でも、遠慮せず相談窓口を活用しましょう。
福島市における不動産の相続対策について、税金面・手続き面・市場動向・相談先と多角的に見てきました。最後に、本記事の要点を整理します。
1.相続税は基礎控除額の範囲内か確認し、超える場合は生前贈与や特例で節税を。
大半の方は非課税枠内で収まりますが、土地など評価額が高い資産をお持ちの場合は早めに対策しましょう。
生命保険や小規模宅地等の特例など使える制度はフル活用し、必要に応じて税理士と計画を練ることが大切です。
2.不動産を巡る親族トラブルを防ぐには「遺言書+話し合い+専門家」です。
相続開始前から家族で情報共有し、揉めそうな点は遺言などで明確化を。相続開始後も公平な遺産分割協議を心がけ、まとまらないときは第三者の力を借りましょう。
3.相続した不動産の売却は名義変更と税申告を忘れずに。
2024年以降は相続登記の義務化で名義放置はできません。売却益が出たら確定申告を行い、適法に納税することで後日のペナルティを回避できます。空き家は放置せず、適切な時期に売却や活用の判断を。
4.困ったらプロに相談を。
市役所や士業団体の無料相談、税務署の相談窓口など、頼れる先は数多くあります。自分ひとりで抱え込まず、専門家の知見を借りることで安心・確実な相続手続きを実現できます。
大切なのは、「うちはまだ大丈夫」と先延ばしにせず早めに相続対策に着手することです。元気なうちに準備を進めておけば、いざという時にも落ち着いて対処でき、残される家族の負担も軽減できます。
相続対策は決して裕福な人だけのものではありません。福島市という地域の事情(不動産価値や制度)も踏まえ、ご自身のケースにあったベストな対策を講じましょう。
そして何より、築いてきた大切な資産を円満に次世代へ引き継ぎ、ご家族の笑顔と絆を守ることこそが相続対策の目的です。早めの準備で、将来の安心につなげてください。
もし不動産の相続対策にお悩みなら、株式会社WIRED(株式会社ワイアード)へ一度ご相談ください。
当社は福島市に本社を置く不動産売却専門企業です。
2014年の創業以来、福島市内の不動産売却を専門に手がけ、累計取引件数は1,200件を超えています。
売主の利益を最優先に考え、不動産の高値売却や早期売却、将来的なトラブル回避に注力しています。 賃貸や購入仲介は行わず売却に特化している点が特徴で、地域密着の豊富な知見を有します。
売主様のご要望・ご状況に合わせた最適な売却方法をご提案させていただきます。
お困りの際にはぜひお気軽にお問い合わせください。