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福島市で土地を売却するには?相場の調べ方から手続き・税金まで成功のポイントを徹底解説

福島市 土地売却ガイド

福島市で土地を売ろうとお考えでしょうか。初めての土地売却では、多くの方が不安を感じるものです。

 

特に相続した土地や長年所有してきた土地を手放す場合、不安になってしまうことはごく自然なものです。実際、福島市で土地売却を検討している多くの方が同じ悩みを抱えています。大切な資産である土地ですから、慎重になるのも当然です。

 

しかしご安心ください。適切な準備と知識を持って臨めば、土地売却は決して難しいものではありません。

 

本記事では、福島市で土地を売る際に押さえておきたいポイントを網羅的に解説します。相場の調べ方から具体的な手続きの流れ、費用・税金の知識まで、一つひとつわかりやすく説明していきます。先に結論を言えば、土地売却成功のカギは以下の点に集約されます。

 

・事前に相場と市場動向を把握すること:適正価格を知り、売り時を逃さない

 

・信頼できる不動産会社に相談・依頼すること:プロの査定で妥当な価格設定と的確な販売活動を行う

 

・境界や権利関係を明確にすること:測量や相続登記など必要な手続きを先に済ませ、トラブルを防ぐ

 

・税金や費用を理解し計画を立てること: 譲渡所得税や仲介手数料を把握し、特例制度で負担軽減を図る

 

これらを押さえて進めれば、不安を解消しつつスムーズな土地売却が可能になります。それでは具体的な内容を見ていきましょう。

 

1.福島市で土地を売却する前のポイントと心構え

福島市 土地売却 心構え

1-1. 土地売却でよくある3つの不安

はじめに、土地を売却しようと考えたときに多くの方が感じる代表的な不安について整理しましょう。具体的には「何をどう進めればいいのか分からない」「本当に売れるのか心配」「費用や税金がどのくらいになるのか不明」といった点が挙げられます。

 

① 何から始めたらいいか分からない: 

普段馴染みのない不動産売却ですから、まず何をすれば良いのか戸惑うのは当然です。

特に土地売却は家付きの不動産と違い、建物がない分だけ情報も少なく、自分の土地の価値すら見当がつかないこともあります。「どこに相談すればいいの?」「手続きの順番は?」と悩むでしょう。

 

② ちゃんと売れるのか不安: 

自分の土地に買い手がつくのか、希望する価格で売却できるのか心配になるものです。福島市の不動産市場が今どうなっているか分からず、「もしずっと売れ残ったらどうしよう」という不安を抱く方もいます。

 

実際、直近の福島市の土地取引件数は減少傾向にあり、需要が落ち着いているとのデータもあります。市場動向によっては、価格設定や売り出し時期を誤ると売却まで時間がかかるケースも考えられます。

 

③ 費用や税金が心配: 

土地を売ったらどれくらい費用(コスト)がかかるのか、利益に対してどんな税金が課されるのか、イメージがしにくいものです。

 

仲介手数料などの経費や、売却益にかかる譲渡所得税(いわゆる不動産売却益に対する税金)について、「思わぬ出費で手取りが少なくなるのでは」と心配する方が多いです。特に相続した土地の場合、取得時の価格が不明だったりして税計算が難しく感じられるでしょう。

 

以上のような不安は誰もが抱くものですが、裏を返せば何を知り、どう準備すればいいかが見えてきます。次の項目では、これらの不安を解消し土地売却を成功させるためのポイントを押さえましょう。

 

1-2. 福島市で土地を売るための成功ポイント

福島市 土地売却 成功ポイント

土地売却の不安を解消するには、事前にポイントを押さえて適切に行動することが大切です。福島市で土地を売る際に特に重要となる成功のポイントを、上記の不安に対応する形で整理します。

 

ポイント① 専門家に相談し全体像を把握する: 

何から始めればよいか分からない場合、遠慮なく地元の不動産会社に相談することが近道です。福島市には不動産売買を専門とする会社があり、売却までの流れを一から説明してもらえます。

 

プロに話を聞くことで、「査定を受けてみる」「権利関係を確認するといった具体的な第一歩が見えてきます。最初に全体の手順を把握しておけば、後は流れに沿って進めるだけなので安心です。

 

ポイント② 市場相場と売り時を見極める: 

「ちゃんと売れるか不安」を和らげるには、市場の相場観を掴み、適切な価格設定と売却タイミングを見極めることです。福島市の土地相場を調べ、自分の土地のおおよその価値を知りましょう。

 

公的な指標として、令和7年(2025年)の福島市の公示地価平均は約60722/㎡(約20万円/坪)で前年より+1.93%上昇しています。一方で実際の成約価格は直近では下落傾向との情報もあり、早めの売却が有利とも言われます。

 

「相場が下降傾向で取引件数も減少しているため、価格が下がる前に売却したほうがいいでしょう」との分析もあります。つまり、売り時を逃さず適正価格で売り出すことが成功への鍵です。このためには後述する査定を活用し、欲張りすぎず現実的な価格設定をすることが重要です。

 

ポイント③ 準備すべき手続きと費用を前もって知る:

 費用や税金の不安については、あらかじめ知識を身につけ計画しておけば心配は軽減します。土地売却で一般的に発生する費用(仲介手数料・測量費・印紙税など)や、売却益に対する税金(所得税・住民税)の計算方法を本記事で後ほど詳しく解説します。

 

譲渡所得税は給与など他の所得とは分離して課税され、所有期間5年超なら約20%5年以下なら約39%の税率が適用されます。しかし各種特例制度による税金の控除・軽減も利用可能です。

 

例えば、一定の条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例(空き家の特例)があります。

 

費用面でも、土地家屋調査士への測量依頼費用や建物解体費用などは売買代金から差し引いて譲渡所得の計算ができます。このように事前に知っておけば、想定外の出費に驚くこともなくなります。

 

以上のポイントを踏まえて準備を進めれば、「何をすればいいか分からない」といった不安は次第に解消されていくでしょう。不安を一つひとつ潰していくことが、土地売却成功への第一歩です。それでは次章から、具体的な準備や手続きの方法を詳しく見ていきます。

 

2.福島市における土地売却前の準備

福島市 土地売却 前の準備

土地売却をスムーズに進めるためには、売り出す前の段階でいくつか準備しておくべきことがあります。ここでは、福島市で土地を売却する際に特に重要となる事前準備(権利関係の確認、境界・測量、土地の種別に応じた対応など)について解説します。

 

2-1. 土地の権利関係と相続手続きの確認

 

まず確認すべきは、その土地の権利関係です。現在の登記名義人は誰になっているか、共有者がいるか、抵当権などの担保権が付いていないかなどをチェックします。特に相続で取得した土地の場合、以下の点に注意が必要です。

 

相続登記は済んでいるか: 

土地を相続したときは、速やかに所有者名義を故人から相続人へ変更する「相続登記」を行わなければなりません。相続によって自動的に名義が書き換わるわけではないため、放置しているケースも見られます。

 

しかし名義変更をしていなければ、その不動産を売却することはできません2024年からは相続登記が義務化され、相続発生を知ってから3年以内の申請が必要となりました(正当な理由なく怠ると過料の対象)。まずは名義が自分になっているか確認し、未了であれば司法書士などに依頼して相続登記を済ませましょう。

 

相続人間の合意: 

相続人が複数いる場合、その土地は各相続人の共有財産となっています。勝手に一人の判断で売却することはできません。まずは遺産分割協議を行い、誰がその土地を取得して売却代金を受け取るのか決めておく必要があります(遺言がある場合はその指定に従います)。

 

相続人同士で合意が取れていないと、売却話を進めること自体が難しくなります。時間が経つほど「今さら売却?」と揉める可能性もあるため、早めに話し合っておくことが得策です。

 

抵当権などの有無:

 土地に住宅ローンなどの抵当権や地上権・地役権などの権利が設定されている場合、基本的には引渡し前に抹消または承継の手続きが必要です。

 

例えば以前家を建てていた際の抵当権が残っているなら、売買決済時にローン残債を清算して抵当権抹消を行います。こうした権利関係も事前に登記事項証明書を取り寄せれば確認できます。不動産会社や司法書士に相談しながら、必要な処理を進めましょう。

 

以上のように、まずはその土地を売却できる状態に整えることが大切です。名義や権利の整理がついていないと、せっかく買い手が見つかっても契約に進めません。

 

福島市では令和5年(2023年)から相続登記の義務化」や「相続土地国庫帰属制度(不要な土地を国に引き取ってもらう制度)」などがスタートし、相続した土地の適切な管理・処分が社会的にも求められるようになっています。

 

安心して売却を進めるためにも、権利関係の確認と必要な手続きの完了を忘れずに行いましょう。

 

2-2. 境界の明確化と測量の必要性

土地 境界 測量

次に、土地の境界を明確にしておくことも重要な準備です。土地は目に見えない境界線で区切られており、売買の際にはその境界をはっきりさせておかないと、後々トラブルになる可能性があります。

 

隣地との境界確認: 

自分の土地と隣の土地との境界ポイント(土地の境界標や塀など)は確認できていますか?長年土地を所有していると境界標(くい)が埋もれたり壊れたりして、正確な境界線が不明瞭になっているケースがあります。

 

買主からすれば「どこからどこまでが買う土地なのか」をはっきりさせたいのは当然です。そこで通常、土地売却時には隣地所有者立ち会いのもと境界を確認し、書面に残す作業(境界確定)を行います。

 

境界確定作業は土地家屋調査士という専門家の業務であり、測量図や公図を基に現地で境界を示し、隣接する土地の所有者に確認・承認してもらいます。

 

双方で「ここが境です」と合意したら、境界確認書に印鑑をもらい、今後の証拠とします。この筆界確認書(境界確認書があれば、買主も安心してその土地を購入できます。

 

確定測量の実施: 

境界を明確にするために、多くの場合確定測量(土地全周の精密な測量)が行われます。これは土地家屋調査士に依頼し、隣地所有者全員との境界立会いを経て、面積や境界点を確定する作業です。

 

費用は土地の広さや境界点の数によりますが、数十万円程度かかることが一般的です。しかしこの費用は先述の通り譲渡費用として売却益から差し引くこともできますし、何より測量によって得られた正確な面積は買主との信頼関係を築く上で不可欠です。

 

「土地の取引において測量は必須である」と言われるほど、正確な測量図は重要な役割を果たします。

 

測量を行うことで、例えば登記簿上の面積と実測面積に差異が見つかることもあります。その場合、売買契約では実測面積に基づいて代金を精算する方法(実測売買)をとるか、登記簿面積で売買して差異があっても代金の増減精算をしない方法(公簿売買)をとるか決める必要があります。

 

一般に買主は実測売買を希望することが多いため、売主としては確定測量を済ませて実測面積を提示する方が交渉を有利に進められます。

 

ごく稀に、隣地所有者が行方不明で境界確認が取れない場合や、境界について争いがある場合には筆界特定制度など法務局を介した手続きもありますが、これは特殊なケースです。通常は不動産会社が調査士と連携して隣地と円滑に境界確認してくれます。

 

境界問題の放置は禁物: 

境界があやふやなまま売りに出すと、買主は敬遠しがちです。「隣地と揉めたら嫌だ」「後から面倒なことに巻き込まれたくない」と思うのは当然ですよね。実際、土地売却をスムーズに進めるためには境界問題を先に解消しておくことが肝心です。

 

福島市内でも昔からの土地で境界標がなくなっているケースは多々あります。測量費用はかかりますが、売却後に境界紛争が起きるリスクを考えれば安いものです。隣人同士で良好な関係を保つためにも、売却前にきちんと境界を確定させておきましょう。

 

2-3. 農地売却の注意点と福島市の空き家対策

農地売却 空き家対策

土地の種類によっては、売却前に行政上の手続きや活用できる制度を検討する必要があります。福島市で特に考えられるのが、「農地を売る場合の注意点」と「空き家(古家付き土地)の扱い」です。

 

農地を売る場合の注意点: 

売却予定の土地が農地(田や畑)である場合、宅地等とは異なる法規制に注意しなければなりません。農地は農地法という法律で守られており、農地のまま売買・譲渡するには原則として市町村の農業委員会の許可が必要です。

 

具体的には、買主がその農地を引き続き農地として耕作利用する場合には農地法第3条の許可を農業委員会から受けなければなりません。例えば、福島市農業委員会では「農地を耕作目的で売買・貸借する場合は当事者が農業委員会の許可を受けなければならない」と定めています。

 

一方、農地を宅地や駐車場など農地以外の用途に転用して売却する場合(いわゆる農地転用)も許可や届出が必要です。

 

都市計画法で市街化区域以外の農地を転用するには、農地法第4条(自分で転用)または第5条(権利移動を伴う転用)の許可を農業委員会または県知事から受ける必要があります。

 

福島市の市街地周辺にある農地では、市街化区域内なら転用は届出制ですが、市街化調整区域などでは許可制となります。したがって、農地を売る場合は事前にその農地がどの区域にあり、どういった許可手続きが必要かを確認しましょう。

 

農業委員会への申請には時間を要するため、売却計画がある時点で早めに動くことをおすすめします。場合によっては、農地を一旦自分で宅地に転用してから売りに出す方が買い手が付きやすいこともあります(ただし開発許可等も絡むため専門家と相談が必要です)。

 

なお、福島市では公式サイト上で売りたい農地一覧」や農地中間管理機構(農地バンク)への情報提供も行っています。農地は専門的な手続きが必要なので、不動産会社も交えて農業委員会に相談しながら進めると良いでしょう。

 

空き家付き土地を売る場合のポイント: 

売却する土地に古い家屋が建っている(空き家になっている)場合、その扱いも検討します。一般的に、老朽化した家が建ったままの土地は古家付き土地として売りに出されますが、買主が更地(建物を壊した状態)を希望するケースも多いです。以下の点を考慮しましょう。

 

解体するかそのまま売るか: 

築年数が相当経っている空き家で、自身では住む予定がない場合、解体して更地にしてから売却した方が買い手がつきやすくなることがあります。更地にすれば購入後すぐに新築建設等に取り掛かれるため、土地としての需要が高まります。

 

ただし、解体費用(数十万~数百万円規模)は売主負担となります。また、家を取り壊すとそれまで適用されていた固定資産税の住宅用地特例(更地より税額が軽減される措置)が翌年度から外れ、売れるまでの期間の土地税負担が増える点にも注意が必要です。

 

反対に、建物を残したままで売る場合は解体費用を負担しなくて良いメリットがありますが、買主側で解体の手間がかかるため、その分売却価格に影響が出るかもしれません。

 

現実には解体更地渡し」にするか「現況有姿(建物あり)渡しにするかはケースバイケースです。不動産会社と相談して決めると良いでしょう。

 

福島市の空き家対策・補助制度: 

福島市では、市内の空き家問題に対応するための施策がいくつかあります。例えば福島市空き家バンクという制度があり、市に空き家情報を登録すると、購入希望者への情報提供やマッチング支援が受けられます。

 

また、空き家を売却・活用しやすくするために補助金制度も充実しています。福島市内では現在、建物の約3%にあたる3,196棟が空き家と推計され、移住者受け入れや空き家活用を促進するため市が補助制度を開始しました。

 

たとえば 20237月から、空き家をリフォームする場合に最大150万円を補助する制度の申込受付が始まっています。さらに、空き家にある不要家財の処分費用について10万円を上限に補助する制度や、老朽危険空家の除却(解体)費用に対する補助もあります。

 

売却前提でリフォームまでするケースは稀かもしれませんが、空き家バンクに登録して補助金を活用し、家財を整理しておくなどは買主に良い印象を与え、早期売却につながる可能性があります。自治体の支援策もうまく利用すると良いでしょう。

 

空き家に係る税制特例: 

空き家を相続した場合の特例として、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得3,000万円特別控除という制度があります。

 

これは、亡くなった親族が一人暮らしをしていた住宅とその土地を相続した相続人が、その家屋を耐震リフォームするか解体除去した上で売却する場合など一定の要件を満たせば、譲渡益から最大3,000万円を控除できるというものです。

 

適用期限は令和9年(2027年)12月末まで延長され、昭和565月以前に建築された古い空き家が対象となります。福島市でも該当するケースがあれば大きな節税になりますので、空き家付き土地を売る際にはこの特例の条件に当てはまらないか確認してみましょう。

 

(適用には事前に市役所で「空き家であったこと」の確認書の発行を受け、確定申告時に提出する必要があります)

 

以上、土地の種別や状態に応じて留意すべき点を見てきました。

 

農地は許可手続き、空き家は解体や特例活用と、それぞれ事前にやることがあります。福島市の不動産会社であれば、地元の農業委員会の手続き状況や空き家バンクの活用例なども把握していますので、不明点は遠慮なく相談しながら準備を進めてください。

 

3.福島市で土地を売る具体的な手順

福島市 土地売却 手順

事前準備が整ったら、いよいよ実際の売却手続きに進みます。ここからは、買主を見つけて契約・引き渡しに至るまでの具体的な流れを解説します。初めての方でも分かりやすいように、順を追って説明していきます。

 

3-1. 不動産会社による査定と売出価格の設定

土地査定 売出価格

複数の不動産会社に査定を依頼する: 

土地を売ると決めたら、まずは不動産会社に査定を依頼しましょう。不動産会社の査定とは、その土地が「いくらぐらいで売れそうか」という適正価格を専門家の視点で評価してもらうことです。

 

福島市内には土地売買に強い不動産会社が複数ありますので、1社だけでなく複数社に査定を依頼するのがおすすめです。一般に査定は無料で行われ、各社から提示された査定価格やサービス内容を比較検討できます。

 

一括査定サイトなどを利用すれば、簡単な入力で複数の会社に査定を依頼することも可能です。

 

査定では、不動産会社が現地を訪れて土地の形状や接道状況、周辺環境などを確認し、近隣の成約事例や公示地価、公的評価額なども参考に価格を算出します。

 

土地の価格は需要と供給のバランスで決まりますが、個別の土地では形状・大きさ・接道状況・地勢など様々な要因で価格が変動します。

 

例えば同じ福島市内でも、整形地か不整形地か、前面道路の幅員・接面長は十分か、上下水道などのインフラは整っているか、日当たりや眺望はどうか等で評価は異なります。こうした点をプロが総合的に判断して査定額が出されます

 

複数社の査定額が出揃ったら、それらを鵜呑みにするのではなく根拠や販売戦略も含めて説明を受けましょう。優良な不動産会社であれば、「A社は○○万円、B社は△△万円の査定だったけど、この差はなぜか?」といった質問にも丁寧に答えてくれるはずです。その対応から信頼できる会社か見極める材料にもなります。

 

売出価格(希望売価)の設定: 

査定額を参考にしつつ、実際に広告に載せる売出価格を決めます。査定額は「このくらいで成約するだろう」という価格ですので、売出価格はそれより少し高めに設定することもあります。

 

交渉を見越して1割ほど上乗せして出すケースもありますが、あまり高すぎると反響(問い合わせ)が少なくなるので注意が必要です。福島市の市場動向を見ると強気の価格設定は難しい局面かもしれません。

 

不動産会社と相談しながら、「早期に売り切りたいのか、多少時間がかかっても高く売りたいのか」という希望も踏まえ戦略的な価格設定を行いましょう。

 

設定した売出価格について、不動産会社は根拠を示す義務があります。近隣の具体的な取引事例や公示地価との比較を示してもらうと良いでしょう。「周辺の○○町では最近△△万円/坪で成約した例がありますので、お客様の土地は○○万円前後が適正かと考えます」といった具合です。

 

個別の土地で見れば条件次第で上下しますから、あくまで査定価格は目安と捉え、売出価格はご自身の希望や売却方針も加味して決定しましょう。

 

3-2. 媒介契約の種類と不動産会社選び

媒介契約 種類 不動産会社選び

査定を依頼した不動産会社の中から「ここに任せよう」という会社が決まったら、媒介契約を締結します。

 

媒介契約とは、売主が不動産会社に買主探しなどの仲介業務を正式に依頼する契約です。この媒介契約には3つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは媒介契約の種類と、不動産会社選びの考え方について説明します。

 

媒介契約の3種類: 

不動産売却の媒介契約には一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約3つがあります。それぞれの違いは、複数の不動産会社に重ねて依頼できるかと、自分で見つけた買主と直接契約できるかという点、および不動産会社に課せられる義務の違いです。

 

一般媒介契約: 

複数の不動産会社に重ねて依頼できます。売主自身が自分で買主を見つけて直接売買契約を結ぶことも自由です。不動産会社側の義務としてレインズ(不動産流通機構)への登録義務や定期報告義務はありません。

 

メリットは、多くの会社に声をかけられるため広く買主を探せる可能性があること、自分でも並行して売却活動できることです。デメリットは、逆に言えばどの会社も「自分のところで必ず売らなければ」という責任感が弱くなる傾向がある点です。

 

他社で決まる可能性がある一般媒介では、各社の販売活動が専任契約に比べて積極度が低くなるケースもあります。

 

専任媒介契約: 

依頼できる不動産会社は1社のみです。ただし売主自身が見つけた相手と直接契約することは認められています(自己発見取引可)。不動産会社にはレインズ登録義務(契約締結日から7日以内)と売主への販売状況報告義務(2週間に1回以上)があります。

 

依頼先を1社に絞ることで、不動産会社は「必ず成約すれば仲介手数料がもらえる」となり、より積極的に販売活動に取り組む傾向があります。売主にとっても進捗報告が定期的にあるので状況把握しやすいメリットがあります。

 

専属専任媒介契約:

 依頼先は1社のみで、かつ売主自身が見つけた買主とも必ず媒介契約を結んだ不動産会社を通じて契約しなければなりません(自己発見取引不可)。不動産会社の義務はレインズ登録(契約から5日以内)と報告(1週間に1回以上)と、専任媒介よりさらに厳格です。

 

この形態は不動産会社にとってもっとも確実に成果報酬が得られる契約であり、責任を持って全力で買主探索に当たってくれるでしょう。売主としては、自分で買主を探すことはできなくなりますが、その必要がないほど不動産会社が熱心に動いてくれるという安心感があります。

 

ざっくり言えば、一般 < 専任 < 専属専任の順で不動産会社のコミットメントが高まり、売主への報告義務も手厚くなる代わりに、売主の自由度は下がります。それぞれ一長一短がありますが、不動産会社としては成功報酬を確実に得られる専任媒介または専属専任媒介を勧めてくるのが通常です。

 

売主の側でも、不動産会社を信頼して任せられるなら専任系の契約にした方がスピーディーに話が進む傾向があります。一般媒介で複数社に頼むと、たしかに広く声はかけられますが各社の動きが分散するため、「結局どの会社も本腰を入れてくれず長引いた」というケースもあります。

 

一方、専任・専属専任にすると1社に集中してもらえる反面、その会社選びを誤ると機会損失になるリスクはあります。

 

不動産会社を選ぶポイント: 

媒介契約の種類を決めるのと同時に、どの不動産会社と契約するか最終決定しましょう。査定を依頼した段階で各社の対応や提案内容が見えていると思います。

 

その中で「価格の根拠が明確」「地域の相場に詳しい」「売却戦略やスケジュールが納得できる」そして「担当者の人柄が信頼できる」と感じられた会社を選ぶと良いでしょう。必ずしも最高額の査定を出した会社がベストとは限りません。

 

極端に高い査定額を提示する会社は、媒介契約を取りたいがためのリップサービスの場合もあります。重要なのは妥当な査定価格と具体的な販売プランを示してくれるかどうかです。

 

また、福島市のように地元密着型の市場では、地域の不動産事情を熟知した会社が強みを発揮します。近隣の潜在的な購入希望者(例えば隣地を買い増ししたい方や、地元で土地を探している建築業者など)の情報網を持っていることもあります。

 

契約条件としては、仲介手数料の料率(法律で上限は決まっています)や広告費用の負担、有効期間(媒介契約は最長3ヶ月で更新可)などを確認します。通常、広告費用は成約した場合に仲介手数料に含まれる形で請求されますので、「広告費は成功報酬に含む」旨を書面で確認しておくと安心です。

 

こうして不動産会社との媒介契約を締結したら、晴れて売却活動のスタートです。契約後、不動産会社は速やかにレインズへの物件登録(専任・専属の場合)を行い、広告資料の作成に取り掛かります。売主はこの時点で「販売委任した」という形になりますので、以降は担当者と二人三脚で売却を進めていくことになります。

 

3-3. 販売活動と買い手交渉の進め方

土地 販売活動 買い手交渉

媒介契約を結ぶと、不動産会社による販売活動(マーケティング)が開始されます。ここでは、買い手探しの具体的な方法と、興味を示した購入検討者への対応、実際の価格交渉について解説します。

 

広告戦略と集客: 

不動産会社はまず物件の広告資料を作成します。土地の場合、現地写真や周辺環境の写真、区画図面、測量図面、法令制限やライフライン情報などが主な内容です。

 

これを業者間流通サイト(レインズ)に登録し、各社が共有することで広く買い手候補に情報が行き渡ります。同時に、自社の顧客データベースから購入希望者に紹介したり、自社サイトや大手不動産ポータルサイト(SUUMOやアットホームなど)に掲載したりします。

 

現地に「売土地」看板を設置することも有効です。近隣で土地を探している人の目に留まるかもしれません。

 

福島市では、地元紙の折り込みチラシや不動産情報誌への掲載を行う会社もあります。ターゲットとなる客層(住宅用地を探すファミリー層、事業用地を探す法人、農地を探す農家など)に合わせて宣伝方法を工夫します。

 

例えば住宅地として売るなら、建築会社やハウスメーカーとも連携して「建築プラン付き土地」として提案することも考えられます。不動産会社は売主と打ち合わせながら最適な広告戦略を練ってくれるでしょう。

 

売主も広告内容は確認し、アピールしたいポイントがあれば伝えます(例:「○○中学校区」「バス停徒歩分」「南道路日当たり良好」などのPRポイント)。

 

問い合わせ対応と内覧(現地案内): 

広告を見た人や、他の不動産会社経由でレインズ情報を見た人から問い合わせが入ります。不動産会社はその対応を行い、興味を持った方には現地の案内(内覧)を実施します。

 

土地の場合、「内覧」というより現地見学です。担当者が買い手候補と一緒に現地に赴き、土地の境界や周辺環境、接道状況などを説明します。売主が現地に立ち会う必要は通常ありませんが、敷地に入るため鍵が必要な場合(敷地がフェンスで囲われている等)は事前に不動産会社に預けておきます。

 

また、雑草が生い茂っていると印象が悪いので、できれば見学前に草刈りや簡単な清掃をしておくと良いでしょう。空き家がある場合は室内も含めて案内しますので、不要品を片付けるなどして見せ方」を工夫します。

 

見学者から質問があれば、不動産会社が売主に確認して回答します。例えば「上下水道は引き込み済みか?」「地盤はどうか?」「隣地との境界標はあるか?」など技術的なことも聞かれます。不明点は調査士や市役所に確認しつつ、正確な情報提供に努めます

 

購入申込みと価格交渉: 複数の見学者の中から「買いたい」という人が現れると、不動産会社を通じて購入申込書(買付証明書)が売主のもとに届けられます。ここには購入希望価格や契約希望日、引き渡し時期、その他条件が書かれています。

 

提示された価格が売出価格そのままであればありがたいですが、多くの場合は値下げ交渉の申し入れがあるでしょう。例えば「○○万円で購入したい」という形です。売主はその条件を受け入れるかどうか検討します。

 

譲れない最低ライン(希望額)との開きが大きければ、カウンターとして「△△万円ならOK」など価格交渉に入ります。

 

価格交渉は不動産会社が間に立って調整します。ポイントは、焦らず、しかし相場とかけ離れない範囲で折り合うことです。1社目の申込者が逃したらもう次がない、ということはありませんので、納得できない金額で無理に合意する必要はありません。

 

ただし、相場から見て妥当な値引き提案であれば前向きに検討しましょう。福島市の土地市場は先述のとおり強い売り手市場ではないため、買主候補が現れたときがチャンスです。

 

「もう少し待てばもっと高い人が現れるかも」と欲を出しすぎて機会を逃すと、次はいつ来るか分かりません。担当者とも相談しつつ、総合的に得な条件を見極めてください。価格以外にも、手付金の額や引渡し時期、契約条件(更地渡し等)があれば調整します。

 

こうして双方が主な条件に合意できれば、いよいよ売買契約の締結へと進みます。

 

3-4. 売買契約から引き渡しまでの流れ

土地 売買契約 引き渡し

買主が決定したら、最後のステップである売買契約の締結と物件の引き渡し(決済)を行います。この段階では法律的な手続きや金銭の授受が発生しますが、不動産会社や司法書士がサポートしてくれるので、順を追って対応すれば大丈夫です。

 

売買契約の締結: 売主・買主の間で価格や引き渡し条件について合意ができたら、不動産会社が売買契約書を作成します。その前提として、買主側には重要事項説明(略して重説)というプロセスがあります。

 

重要事項説明とは、その不動産の法令上の制限や権利関係、設備状況などを宅地建物取引士の資格を持つ不動産会社担当者が買主に説明するものです。

 

土地の場合、「都市計画用途域は何か」「建ぺい率・容積率はどれくらい」「道路に接している幅は何m」「上下水道ガスの整備状況」「土壌汚染や埋蔵物の有無」「境界確認状況」などが説明されます。

 

これは買主が安心して契約できるようにするための大事なステップで、通常は契約の当日に契約書調印の前に実施されます(事前に書面を渡して目を通してもらいます)。

 

重説と契約書の内容に双方納得したら、売主・買主が契約書に署名捺印します。同時に手付金が買主から売主に支払われます。手付金は売買代金の一部で、相場的には代金の510%程度が多いです。

 

例えば1,000万円の土地なら50万~100万円といったところです。手付金を受け取ることで、契約の成立が担保されます(もし買主都合で契約解除する場合は手付金放棄、売主都合で解除する場合は手付金の倍額を返還するという手付解除のルールがあります)。

 

この契約時には印紙税の支払いも必要です。売買契約書には売買代金に応じた収入印紙を貼付しなければなりません(例:1000万超5000万円以下の契約書なら1万円の印紙)。不動産会社が準備を案内してくれますので、売主・買主とも各自で印紙代を負担し貼付します。

 

なお、契約締結に際して司法書士に所有権移転登記や抵当権抹消登記の依頼をしておきます。通常、不動産会社が信頼する地元の司法書士を手配してくれます。相続登記がまだの場合も、その司法書士に早急に対応してもらいましょう。

 

引き渡し(決済)の準備: 

契約後、買主は住宅ローンを利用する場合は融資審査の本申込を行い、承認を経て決済日に備えます。売主の側では、契約から引き渡しまでの間に引き渡し準備を進めます。土地のみで何もない場合は特にありませんが、空き家がある場合は残置物の撤去や引っ越しを完了させます。

 

事前に約束したとおり、更地渡しにするなら建物解体を実行します。境界標が破損しているなら新たに設置しておきます。買主側でリクエストがあれば、それにも対応します(例えば境界付近の樹木の伐採など)。

 

残代金決済と所有権移転登記: 

売買契約で定めた決済日に、残代金の受け渡しと物件の引き渡しを行います。通常は金融機関の会議室や司法書士の事務所で、売主・買主・不動産会社・司法書士が集まって実施します。当日の流れは以下の通りです。

 

登記関係書類の確認: 

司法書士が売主(旧所有者)に本人確認を行い、所有権移転登記のための書類一式が揃っているか確認します。売主は事前に登記済権利証(または登記識別情報)や実印、印鑑証明書、固定資産税納税通知書などを用意します。

 

また、相続登記がまだの場合はその書類一式も必要です。抵当権抹消がある場合は金融機関から委任状や解除証書を受け取っておきます。

 

残代金の支払い: 

買主から売主へ、売買代金の残額を支払います。通常は買主が用意した銀行振込で売主口座に送金するか、同席している銀行担当者経由で振込実行します。事前に手付金を受領済みなので、「売買代金 − 手付金 = 残代金という計算です。

 

あわせて、固定資産税等の清算金も授受します。固定資産税・都市計画税は年税額を日割り計算し、年度途中での所有者変更なので決済日を境に日割清算するのが一般的です(地域慣行によりますが、福島市では11日時点の所有者が年度分を払うため、多くの場合で買主が残り日数分を負担します)。

 

諸費用の支払い:

売主から不動産会社へ仲介手数料の支払いを行います。仲介手数料は契約時に半額、決済時に半額という形で支払う場合もありますが、一括で決済時に支払うケースもあります。

 

成功報酬ですので売買成立後に支払います金額は事前に請求書を受け取って確認しておきます(売買価格×3%6万円+消費税が上限)です。その他、司法書士への登記費用の支払いもありますが、通常これは買主負担(所有権移転の登録免許税など)と売主負担(抵当権抹消の登録免許税など)を分けて各自用意します。

 

司法書士から説明があります。印紙税は契約時に納め済みなのでここではありません。

 

所有権移転登記の申請: 

司法書士が残代金支払い完了を確認したうえで、法務局にオンラインで所有権移転登記と(あれば)抵当権抹消登記の申請を行います。登記申請が受理されれば、法的には買主が新所有者となります。

 

物件の引き渡し: 

最後に、売主が買主に物件を引き渡します。空き地であれば境界標の位置を確認したり、鍵があれば鍵を渡したりして「本日をもってお引き渡しいたします」と宣言します。これで取引完了です。お互いに挨拶を交わし、長かったプロセスも終了となります。

 

以上が決済・引き渡しまでの流れです。一連の作業は通常12時間程度で完了します。司法書士がしっかり段取りしてくれるので、売主・買主は指示に従って動けば問題ありません。

 

無事引き渡しが完了すれば、土地売却は成功です。あとは忘れずに、翌年の確定申告で譲渡所得の申告を行いましょう(次章で説明します)。

 

4.土地売却にかかる費用・税金の基礎知識

土地売却 費用 税金 基礎知識

土地売却では、売却代金がそのまま手元に残るわけではなく、諸費用や税金が差し引かれます。思ったより手取りが少なくてがっかりということにならないように、事前に費用・税金について理解しておきましょう。また、適用可能な特例を使って税負担を軽減する方法も知っておくと有利です。

 

4-1. 不動産会社の仲介手数料など必要費用

仲介手数料: 

最も大きな費用は不動産会社への仲介手数料です。成功報酬であり、売買契約が成立して引き渡しまで完了したときに支払います。法律で上限額が定められており、売買価格が400万円を超える場合は売買価格の3%+6万円(別途消費税)が上限となります。

 

例えば1,000万円で売れた場合、仲介手数料上限額は「1,000万円×3%6万円=36万円」に消費税を加えた金額です。実際には多くの不動産会社がこの上限いっぱいの手数料を請求します。媒介契約時に取り決めた額を、決済時に支払います。なお、媒介契約が一般か専任かで手数料率が変わることは通常ありません。

 

印紙税: 

売買契約書に貼付した収入印紙代です。これは売主・買主それぞれ負担するのが一般的です(契約書を2通作成し各自保管するため)。印紙税額は売買金額によって異なり、例えば500万円超~1000万円以下なら5千円、1000万円超~5000万円以下なら1万円、5000万円超~1億円以下なら3万円といった区分です。

 

高額取引では負担も大きいですが、不動産売買では必ず必要な税金となります。

 

登記関連費用: 

売主側で必要になる登記の費用もあります。代表的なのは、抵当権抹消登記の費用です。土地に住宅ローン等の抵当権が付いている場合、売却と同時に抹消しますが、その登録免許税(不動産1個につき1,000円)や司法書士手数料がかかります。

 

一般に数万円程度です。また、相続登記を未了で売却する際にはその登記費用も売主負担です。登記費用は司法書士へ支払います。買主側が負担する所有権移転登記費用とは別に、売主側として必要な登記費用がある点も押さえておきましょう。これも譲渡費用として認められるものです。

 

測量費用: 

前述した境界確定測量費用です。土地家屋調査士への報酬となり、面積や境界点数によりますがおおむね数十万円~100万円弱くらいのことが多いです。筆数が多かったり山林を含む広大な土地だともっとかかることもあります。

 

測量費用は売主が負担するのが一般的ですが、交渉次第で買主と按分したり買主負担にしたりするケースもあります(レアですが)。こちらも契約前に売主が支出するものなので、譲渡費用に計上可能です。

 

解体・撤去費用:

古家付き土地の場合に建物解体費用が発生することがあります。木造住宅1軒を解体するには、延床面積や構造にもよりますが100万円以上の費用がかかります(30坪程度の木造住宅で150万円前後が目安)。

 

不要な物置や井戸の撤去、樹木の伐根なども行えば追加費用がかかります。解体費用も売主負担とするなら手取りを圧迫しますが、これも譲渡費用に算入可能です。更地で売った方が高く売れる場合、その分価格に上乗せできていれば費用を回収できます。

 

その他の費用: 

その他、細かな費用としては契約書や境界確認書等の印紙代、引っ越し代、測量図の公的写し取得費用、場合によってはハウスクリーニング費などが考えられます。

 

ただ、金額的に大きいのは上に挙げた仲介手数料・測量費・解体費あたりでしょう。総額で見れば、売買代金の510%程度が諸費用として消えるイメージです。

 

以上の費用について、譲渡費用と認められるもの(仲介手数料、測量費、印紙代、建物取壊し費用、立退料など)は譲渡益から控除できます。

 

したがって、税金計算の際にはこういった費用は漏れなく計上しましょう(次項で税計算について詳述)。手残りを正確に把握するためにも、不動産会社に依頼して諸経費一覧を作ってもらい、いくらくらい差し引かれるのか試算しておくと安心です。

 

4-2. 土地売却で発生する譲渡所得税と確定申告

 

土地を売却して利益(譲渡益)が出た場合、その利益に対して譲渡所得税(所得税+住民税)が課税されます。

 

土地売却の利益は給与所得などとは区別して計算され、原則として売却翌年に確定申告して納税することになります。ここでは、譲渡所得税の基本的な計算方法と確定申告のポイントを説明します。

 

譲渡所得の計算方法: 譲渡所得(課税対象となる利益)は次の式で算出します。

譲渡所得 = 譲渡価額(売却価格) − (取得費 + 譲渡費用)

 

取得費: 

売却する土地を買ったときの元手です土地を購入した際に支払った代金や仲介手数料、登記費用、造成費用などを合計したものが取得費となります。相続でもらった土地の場合は、原則として被相続人(亡くなった方)が購入した際の価格等を引き継ぎます。

 

ただし古い時代で価格が不明な場合や、実際の取得費が売却額の5%に満たない場合は、概算取得費として売却価額の5%を取得費にできます。(長期間所有した土地で物価が上昇していると、実額より5%ルールの方が有利なケースがあります。)

 

譲渡費用: 

売却のために支出した費用です先ほど列挙した仲介手数料、測量費、契約書の印紙代、建物を壊して土地を売った場合の取壊し費用、借地人に立ち退いてもらうために払った立退料などが典型例です。

 

要は売却の実現に直接かかった費用が該当します。こういった費用は領収書等を保存しておき、確定申告時に漏れなく申告しましょう。

 

上記の計算で譲渡所得がプラス(利益あり)になれば課税対象、マイナス(売却損)であれば所得税・住民税は課税されません。なお、居住用財産の場合は特定の条件で損益通算や繰越控除が可能ですが、土地単体だと基本的に損失は他の所得と通算できません。

 

短期譲渡と長期譲渡の税率: 

算出された譲渡所得に対し、所有期間に応じた税率を掛けて所得税・住民税額を計算します。所有期間とは、その土地を取得してから譲渡した年の11日までの期間です。5年を超えるかどうかで区分が変わります。

 

短期譲渡所得(所有期間5年以下): 

税率は所得税30%+住民税9%=39%(復興特別所得税を含めると約39.63%)と高めです。

 

長期譲渡所得(所有期間5年超):

 税率は所得税15%+住民税5%=20%(復興税含め約20.315%)と優遇されています。

 

例えば親から相続した土地の場合、親が長年所有していたのであれば取得日は親が買った日まで遡ります。そのため多くは長期譲渡所得扱いとなり、約20%の税率が適用されるでしょう。

 

逆に、相続してすぐ売った場合でも所有期間は親の取得からカウントするので安心です(相続開始から譲渡までが短くても問題ありません)。ちなみに所有期間の判定は「11日時点」で行うため、例えば20196月取得→20247月売却だと5年経過していても202411日時点では4年超なので短期扱いになる点には注意です。

 

確定申告と納税の流れ: 

譲渡所得が発生したら、原則として翌年216日~315日の確定申告期間に確定申告を行います譲渡所得は給与所得などと分離して課税される(分離課税)ため、年金暮らしなどで他に申告不要な人でも申告が必要です。

 

確定申告書の第三表(分離課税用)に売却金額や取得費・譲渡費用、特例控除額などを記入し、税額を計算します。申告書作成には譲渡所得の内訳書という計算明細も必要です。ここで、売買契約書や領収書類、譲渡のあった不動産の登記事項証明書などの資料を添付または提示します。

 

計算が難しい場合、税理士に依頼する手もありますが、国税庁の確定申告書作成コーナーを使えば案内に従って数字を入れるだけなので比較的簡単です。申告期限までに申告し、その年の315日までに税金を納めます(口座振替にすれば4月下旬引き落とし)。

 

譲渡所得税の注意点: いくつか押さえておきたいポイントがあります。

譲渡所得税 注意点

住民税の存在: 

税率の内訳で触れましたが、譲渡所得には所得税だけでなく住民税(10%)も課税されます住民税は確定申告すると税額計算され、通常はその年の6月以降に自治体から送られる住民税納税通知書に合算されます。

 

多くの場合、一括ではなく残りの年度分の住民税に上乗せして徴収されるので、翌年度の住民税額が大きく跳ね上がります。納付漏れがないよう注意しましょう。

 

源泉徴収は基本なし: 

不動産の個人間売買では源泉徴収などは行われないため、確定申告までは税金を手元にプールしておく必要があります。売却代金をすぐ別の用途に使ってしまうと、後で税金分が足りなくなる恐れがあります。概算でいいので譲渡税額を計算して念頭に置いておきましょう。

 

利益が出なかった場合:

 譲渡所得がゼロかマイナスで、他に申告する所得もない場合、基本的には確定申告は不要です。しかし、後で税務署から「お尋ね」が届くことがあります。不動産を売却すると法務局経由で税務署に情報が渡るため、本当に利益がなかったのか確認する通知が来るのです。

 

その際は取得費や経費を回答すれば問題ありません一方、損失が大きく出た場合で一定の要件を満たせば、居住用財産に限って他の所得との損益通算や損失の繰越控除が認められるケースもあります(今回の読者層には該当少ないかもしれませんが)。

 

以上が税金の概要です。「税金」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、要点は「売った年の翌年に儲けの約2割を納める」というシンプルなものです。次に説明する特例などを使えば、この負担を軽減することもできます。

 

4-3. 税負担を軽減できる特例制度の活用

土地売却 税負担軽減 特例

土地売却にかかる譲渡所得税には、一定の条件を満たす場合に税金の特例措置が用意されています。上手に活用すれば大きな節税につながりますので、自分の場合に適用できるものがないか確認しましょう。代表的な特例を紹介します。

 

3,000万円特別控除(居住用財産): 

マイホームとして使っていた土地建物を売った場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度があります。自宅を売却する多くのケースで利用されている強力な特例です。

 

ただし、この特例は居住用財産が対象で、例えばご自身が住んでいた家と土地を売る場合などに限られます。今回の読者の方は必ずしも居住用ではない土地(相続土地や投資用地)が多いかもしれません。その場合、この特例は使えません。

 

しかし仮に居住用であれば、3,000万円まで利益が非課税になるため、利益が3,000万円以下なら譲渡所得税がゼロになります。適用要件として、住まなくなってから3年以内の売却であること、親子や夫婦間の売買でないことなどがあります。

 

なお、この特別控除は被相続人の居住用財産を売った場合(いわゆる空き家特例)とも重複適用はできないので注意が必要です。

 

被相続人居住用財産(空き家)3,000万円特別控除: 

前述の空き家特例です。亡くなった親などが一人暮らしをしていた住宅とその敷地を相続し、それを売却する場合に3,000万円控除が受けられます。

 

適用期間は平成2841日~令和91231日譲渡分までで、昭和56531日以前に建築されたこと、区分所有建物(マンション等)ではないこと、亡くなる直前に被相続人以外に居住者がいなかったこと等の条件があります。

 

また、売却に際して耐震基準を満たすか、解体して更地にするかの要件もあります。福島市でいうと、旧耐震の一戸建て住宅を親から相続し、その後空き家になっているようなケースが該当します。

 

適用を受けるには市から被相続人居住用家屋等確認書を発行してもらい、確定申告で提出する必要があります。この特例を使えば、たとえ相続した家付き土地に高額な譲渡益が出ても3,000万円まで非課税になるので、かなりの節税となります。

 

例えば2,500万円の利益なら全額控除で税ゼロ、5,000万円の利益でも課税対象が2,000万円まで圧縮されます。

 

所有期間10年超の軽減税率: 

居住用財産を売った場合で、かつ所有期間が10年を超える場合には、長期譲渡所得の税率がさらに軽減されます。具体的には、譲渡所得6,000万円以下の部分について所得税10%+住民税4%(復興税込み14.21%)となり、6,000万円超の部分は通常通り15%5%(復興税込み20.315%)となります。

 

つまり、自宅を長年所有していた人が売却すると税率が低く抑えられる措置です。こちらも居住用財産限定で、3,000万円控除との併用はできません(どちらか有利な方を選択)。長期間お住まいだったご自宅を売却して別の住まいに移る場合などに使えます。

 

取得費加算の特例: 

相続により土地を取得した場合で、その相続において相続税を支払っている場合、一定条件のもとで相続税額の一部を譲渡所得の取得費に加算できる特例です。

 

相続税を負担した人が、相続税申告期限(相続開始から10ヶ月)翌日から3年以内にその土地を売った場合に適用できます。要するに、相続税を払って取得した財産をすぐ売却しても二重課税が重くならないようにする措置です。

 

相続税評価額ベースで按分計算されますが、相続税額がまるまる取得費にプラスされるイメージです。相続税を納めた方はぜひ活用したい特例ですが、そもそも相続税を課されるケースは全体の一部でしょう。該当する方のみ留意してください。

 

その他の特例: 

そのほか、土地を収用(公共事業で買い上げられる)された場合の5,000万円特別控除、特定土地区画整理事業の換地処分で譲渡があった場合の特例など、特殊なケースの特例もあります。

 

また、住宅ローン控除を受けていた家を売った場合の利益圧縮や、住み替えの場合の特例など居住用関連の制度もあります。今回焦点の「福島市で土地を売る」シーンではまず出てこないと思われますので割愛します。

 

特例を適用するためには、確定申告で所定の書類を提出する必要があります。たとえば3,000万円控除なら譲渡所得の内訳書にその旨を記載し、居住用財産の場合は住民票の写しや譲渡対価証明書等を提出します。

 

空き家特例なら前述の確認書や耐震証明書等が必要です。詳細は国税庁のタックスアンサーNo.3306などで確認できます。適用要件を満たすかどうか微妙な場合や、手続きを自分でするのが不安な場合は、税理士や税務署に相談してみましょう。

 

いずれにせよ、税制特例をうまく使うことで数百万円以上の税金が節約できる可能性があるため、自分に利用できる制度があるときは見逃さないようにしてください。

 

5.まとめ:福島市で土地を売却するコツ

 

長文となりましたが、福島市での土地売却について、相場から手続き・税金まで主要なポイントを解説してきました。最後に要点を整理し、成功のコツを再確認しましょう。

 

事前準備をしっかり行う: 

何よりも大切なのは準備段階の徹底です。土地の名義や相続手続きの確認(相続登記の完了)、隣地との境界確定と測量、農地なら農業委員会の許可申請、空き家なら解体や特例の検討など、やるべきことを先に片付けておくことで、売却活動をスムーズに開始できます。

 

不安要素を残したまま市場に出すと、売却が長引いたり価格交渉で不利になったりします。問題の芽は事前につんでおきましょう。

 

信頼できる不動産会社に相談する: 

不動産売却はプロの力が不可欠です。特に土地は価格査定が難しく、素人判断では適正価格を見極めにくいものです。福島市の地域事情に詳しい信頼できる不動産会社を見つけ、早い段階で相談しましょう。

 

無料査定を通じて市場価格を把握し、疑問点は質問してクリアにします。媒介契約の種類も踏まえて慎重に業者選定をしてください。一度契約したら二人三脚ですから、この人なら任せられるという担当者に出会うことが成功の近道です。

 

的確な価格設定と売り時の判断: 

売却成功には価格戦略が鍵です。相場を無視した高すぎる価格では買い手がつかず、安すぎる価格では損をします。福島市の土地相場データや査定価格を参考にしつつ、適正な売出価格を設定しましょう。

 

市場動向も考慮して、需要があるうちに売りに出すことが大切です。近年は福島市でも取引件数減少の傾向があり価格が下がる前に売却した方がいいという声もあります。プロのアドバイスを聞きながら、売り時を逃さない判断が求められます。

 

柔軟な交渉と買主対応:

 売却活動が始まったら、問い合わせ対応や価格交渉は不動産会社に任せつつも、売主としての判断力も必要です。買主からの値下げ交渉には市場相場や他の購入希望者の状況を踏まえて応じます。

 

絶対譲れないラインと、譲歩できる範囲をあらかじめ考えておきましょう。提示条件に固執しすぎるとチャンスを逃すかもしれません。反対に焦りすぎて安易に妥協する必要もありません。複数候補を比較しながら、冷静かつ柔軟に交渉に臨むことが大切です。

 

費用・税金を理解し手取りを最大化: 

最後に、土地売却に伴う費用や税金をしっかり把握して、手取り額の最大化を図りましょう。仲介手数料や測量費など必要経費は事前に見積もり、できるだけ無駄を省きます。

 

譲渡所得税については、長期譲渡なら約20%、短期譲渡なら約39%の税率であることを念頭に入れておきますさらに、適用可能な特例(居住用3,000万円控除や空き家特例など)は確実に活用し、税負担を軽減しましょう。必要なら専門家の力も借りて、賢く節税することが土地売却の収支を良くするポイントです。

 

以上を踏まえれば、初めての土地売却でも大きな失敗なく進められるはずです。

 

最初は不安いっぱいでも、一つひとつ準備と行動を積み重ねることで道は開けていきます。最終的に大切なのは「この土地を買って良かった」と買主にも満足してもらう円満な取引にすることです。売主であるあなたが安心と納得を持って進めれば、その気持ちはきっと買主にも伝わります。

 

福島市で土地を売る際には、本記事の内容を参考にぜひ計画を立ててみてください。

 

わからないことや不安なことがあれば、当社株式会社WIREDへまずはご相談ください。

スタッフ全員が福島市出身であり、地元の不動産事情に精通しております。

 

私たちは営業マンとしてではなく、売主様の良きご相談相手として、ご要望や目的に合わせて最適なご提案を、豊富な事例をもとにご提案させていただきます。

 

お困りの際にはぜひ一度、ご相談ください。

 

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