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福島市で不動産売却をする際に必要な書類:初心者向けガイド

福島市の街並みと不動産物件のイメージ

福島市で不動産を売却しようと考えたとき、「どんな書類を準備すればいいの?」「どこで手続きをすればいいの?」と不安になる方も多いでしょう。

 

必要書類が揃わずに売却手続きが遅れてしまうのは避けたいですよね。この記事では、初心者にもわかりやすく不動産売却時に必要な書類を整理・解説します。早めに必要書類を把握し準備することで、スムーズな売却につなげましょう。

 

不動産売却時に必要な書類(基本編)

基本的な不動産売却書類のイメージ

まずは、不動産の売却(仲介でも買取でも共通)で一般的に必要となる基本的な書類を確認します。

 

福島市だからといって特別な書類が増えるわけではありませんが、取得方法や手続き先は地域によって多少異なる場合があります。以下に主要な書類とその概要、取得方法、所要時間や費用の目安をまとめます。

 

本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等)

売主本人であることを証明するために顔写真付きの公的身分証が必要です。複数名義で売却する場合は、所有者全員分の本人確認書類を用意します。

 

普段お持ちの運転免許証やマイナンバーカードで問題ありません。取得の必要はなく、提示するだけですが、有効期限切れや住所の変更に注意しましょう(住所が現在のものと異なる場合、後述の「住民票」が必要になるケースがあります)。

 

登記済権利証または登記識別情報(権利証)

不動産を取得した際に法務局から交付される権利証です。旧来の紙の「登記済権利証」か、現在主流の12桁の暗号コードが記載された「登記識別情報通知」のいずれかになります。

 

これは所有者であることを公的に証明する大切な書類で、所有権移転の手続き(買主への名義変更)時に必要です。基本的に再発行ができないため、手元にあるか必ず確認してください。

 

紛失してしまった場合の対処法は後述書類を紛失した場合の対応策で解説しますが、司法書士等による本人確認手続きが必要になり、時間と費用がかかるため注意が必要です。

 

固定資産税納税通知書

毎年46月頃に市区町村から送付される、その不動産にかかる固定資産税・都市計画税の課税明細が記載された書類です。最新年度分を用意しましょう。これは売買時に年間税額を確認し、買主と税負担額を清算するためや、取得時の登録免許税算出に使います。

 

福島市では毎年4月頃に郵送されるので、紛失せず保管しておきます。取得先は福島市役所資産税課で、紛失した場合でも再発行はできませんが、代わりに「固定資産評価証明書」や「名寄帳」(後述)を取得することで対応できます。

 

固定資産評価証明書は資産税課窓口や各支所で即日発行でき、手数料は1300円(福島市の場合)です。申請時には本人確認書類が必要で、所有者以外が請求する場合は委任状も求められます。

 

なお、名寄帳とはその市町村内で所有する不動産一覧を示す書類で、こちらも1300円程度で取得可能です。

 

実印および印鑑証明書

売買契約書の調印や所有権移転登記の際には、実印による押印とその証明書が必要です。実印とは市区町村に登録した公的な印鑑のことで、各所有者ごとに用意します。印鑑証明書はその実印が確かに登録されていることを証明する書面で、市区町村の窓口で発行できます。

 

発行日から3ヶ月以内のものが有効とされるため、売却が具体的に進んだ段階で取得しましょう。福島市役所や各支所の市民課で取得可能で、手数料は1300円です(マイナンバーカードを持っていればコンビニ交付も利用できます)。なお、共有名義の場合は全員分の実印・印鑑証明が必要になるので漏れなく準備してください。

 

住民票(必要に応じて)

所有者の現住所が登記上の住所と異なる場合に必要となる書類です。例えば、登記簿上の住所が過去の住所のままになっているケースでは、現在の住所とのつながりを証明するために住民票(または戸籍の附票)が求められます。

 

住民票は市町村役場で発行でき、福島市では手数料300円です。当日中に取得できます。複数名義の場合や、相続で取得した物件の場合、住所変更をしていなかったり亡くなった方の住所が記載されたままになっていることがあります。その際は売却前に住所変更登記を行うか、住民票等で補完書類を用意する必要があります(詳細は司法書士に相談してください)。

 

過去の売買契約書(取得時の契約書)

現在売却予定の不動産を自分が購入した際の売買契約書や重要事項説明書の写しです。これは絶対に必要というわけではありませんが、買主への物件説明や後述する確定申告(税金計算)の際に参考となるため、手元にある場合は用意しましょう。

 

特に、購入時の契約書は売却益の計算(譲渡所得税の計算)で取得費を証明する資料となります。紛失している場合でも売却手続き自体は可能ですが、可能であれば探しておくと安心です。万一見つからない場合、後日の確定申告時にはその他の資料や聞き取りで対応することになります。

 

住宅ローン残高証明書(住宅ローン返済予定表)(※ローン残債がある場合)

売却時に住宅ローンが残っている場合に必要となる書類です。現在のローン残高を示す証明書で、金融機関が発行します。

 

これによりローンの残債総額を把握し、売却代金で完済できるか確認することができます。通常は毎年残高証明書(住宅取得控除用)が送られてきますが、最新の金額を知りたい場合は金融機関に問い合わせれば再発行や残高の証明を受けられます(ネットバンキングで表示・印刷できる場合もあります)。

 

手続きには数日~1週間程度かかることがあるので早めに請求しましょう。費用は金融機関によりますが無料~数百円程度です。また、ローンを完済しないと不動産を売却(所有権移転)することはできませんので、物件引き渡しまでに完済予定であることを示す資料としてローン返済予定表なども準備しておくと安心です。

 

以上が基本的な必要書類です。この他にも物件の種類や状況によって追加書類が発生する場合があります。次章以降では相続した不動産や住宅ローンが残っている場合など、ケース別に必要となる書類について詳しく説明します。

 

相続した不動産の売却時に必要な書類

相続した不動産のイメージ、相続手続きの書類

親族から相続した不動産を売却する場合、通常の売却に必要な書類に加えて、相続登記(名義変更)関連の書類が必要になります。まず大前提として、その不動産について相続登記が完了しているかを確認しましょう。

 

相続登記とは、亡くなった方から相続人へ名義を変更する登記手続きです。これが済んでいないと、買主へ直接名義を移すことができず売却手続きが進められません。相続登記が未了の場合は、売却契約を結ぶ前に相続登記を行う必要があります。

 

相続登記が未了の場合

相続登記を行うには以下の書類が必要です(一部は相続登記が完了していれば不要になります)。

 

被相続人の戸籍謄本一式

亡くなった方(被相続人)が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を揃えます。これによって「誰が相続人か(相続関係)」を公的に証明します。

 

戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得でき、1通あたり450円程度です(改製原戸籍や除籍謄本は750円)。本籍が福島市であれば市役所市民課で即日発行可能ですが、遠方の場合は郵送請求となり12週間程度かかることもあります。必要な戸籍が複数市町村にまたがる場合は、それぞれ請求する必要があるため早めに着手しましょう。

 

相続人全員の戸籍謄本および住民票

現在生存している相続人全員の戸籍謄本(現在のもの)と、売却後に名義人となる相続人の住民票が必要です。

 

相続人が複数いる場合、誰がその不動産を相続するか決まっていないと登記できないため、次の「遺産分割協議書」が重要になります。なお、住民票は福島市で取得するなら1300円、即日交付です。

 

遺産分割協議書(相続人が複数いる場合)

相続人全員で不動産の帰属を取り決めた合意書です。相続人が一人の場合や、遺言書で受取人が指定されている場合は不要ですが、複数相続人がいるなら誰がその不動産を相続するか明記した協議書を作成し、全員の実印を押印します。

 

協議書自体は自分たちで作成できます(書式は自由ですが、不安であれば司法書士や弁護士に相談してください)。作成に費用はかかりませんが、相続人全員の合意が前提となるため時間を要するケースもあります。円満に話し合いがまとまっているなら早めに書面化しておきましょう。後で紛失しないよう原本とコピーを用意し、原本は相続登記提出用に保存します。

 

固定資産評価証明書

相続登記の申請時には、登記する不動産の評価額を示す固定資産評価証明書(または課税明細書)が必要です。これは登録免許税(登記費用)の算出に使います。固定資産評価証明書は先述のとおり市役所で取得でき、福島市では1300円~(3筆まで300円、以降1筆ごとに+100円)です。

 

亡くなった方名義の評価証明書を請求する場合、申請人が相続人であることを証明する戸籍などの提示が求められます(このため前述の戸籍類が必要になるのです)。評価証明書取得には即日~数日で発行されます。

 

上記書類を揃えて法務局で相続登記を申請します。相続登記を自分で行う場合、登録免許税として不動産評価額の0.4%を納めます(評価額が高額になる場合はご注意ください)。例えば評価額1,000万円の土地なら4万円が税金となります。

 

相続登記は2024年から義務化され、相続発生後3年以内に申請が必要になりましたので、売却にかかわらず早めの手続きをおすすめします。手続きに不安がある場合は司法書士に依頼することも可能です。司法書士に相続登記を依頼した場合の費用相場は、不動産の数や難易度によりますが10万~20万円前後が一般的です(戸籍収集代行や書類作成の報酬を含む)。

 

相続登記が完了している場合

既に不動産の名義が相続人であるあなたに変更済みであれば、基本的には前章「基本編」で挙げた書類一式を用意すれば足ります。ただし、相続登記完了時に発行された新しい権利証(登記識別情報)を忘れずに準備してください。

 

また、登記上の住所が相続時のものになっているか確認しましょう(相続登記の際に住所も移転登記していれば問題ありません)。相続が絡むと書類が多く複雑に感じますが、一度名義を自分に変えてしまえば通常の売却とほぼ同じ手続きになります。

 

住宅ローンが残っている場合の必要書類

住宅ローンが残る不動産のイメージ、ローンの契約書類

売却予定の不動産に住宅ローンの残債が残っている場合、抵当権の抹消手続きが必要になります。住宅ローンを借りている不動産には金融機関の抵当権が設定されています。売却時にはこの抵当権を外す(抹消する)ため、ローンを完済するとともに所定の書類を用いて抵当権抹消登記を行わなければなりません。

 

ここではローン残債があるケースで必要となる書類と手続きについて説明します。

 

ローン残高証明書

基本編でも触れましたが、ローン残高証明書は現在の住宅ローン残高を示す書類です。

 

不動産の引渡し(決済)時までにローンを完済する計画であることを示すため、最新の残高証明書や金融機関発行の返済予定表を用意しておきます。

 

買主への引渡し前にローンを清算し抵当権を抹消する必要があるため、通常は売買代金を使って一括返済する段取りとなります。そのためにも残債額を正確に把握しておくことが重要です。

 

抵当権抹消関係書類

ローンを完済すると、金融機関から抵当権抹消のための書類が発行・提供されます。

 

具体的には、

 

  • 抵当権解除証書(債権者である金融機関が「ローンが完済されたので抵当権を消してよい」ことを証明する書類)
  • 登記原因証明情報(完済日や原因を記載した書類)
  • 委任状(金融機関が司法書士等に抹消登記を委任する書面)
  • 金融機関の資格証明書(担当者の資格を証明する書類、法人の印鑑証明など)

 

などのセットです。金融機関やローンの種類によって書類名は多少異なりますが、まとめて「抵当権抹消書類一式」などと呼ばれます。これらは通常、ローン完済時に金融機関から交付されます。

 

売却と同時にローンを返済する場合は、決済日に司法書士を通じて金融機関から直接これらの書類を受け取り、その日のうちに抹消登記申請を行う流れになります。事前に金融機関の担当者と打ち合わせをしておき、当日忘れず受け取るようにしましょう。

 

抵当権抹消登記の申請書

上記の抹消書類一式を用いて法務局に提出する申請書です。これは当日司法書士が用意してくれるケースが大半ですが、自分で手続きをする場合は法務局の窓口かウェブサイトで書式を入手できます。必要事項(不動産の表示、抵当権者・設定日、抹消理由=完済日など)を記入し、先ほどの金融機関からの書類を添付して提出します。

 

抵当権抹消手続きにかかる時間と費用

抵当権抹消登記自体の手続きは、書類さえ揃えば法務局で即日受付・処理され、数日~1週間程度で完了します。

 

法務局から発行される「登記完了証」または「登記識別情報(抹消の場合は通知なしの場合もあり)」をもって抵当権が正式に消えたことになります。費用面では、抵当権抹消の登録免許税として不動産1件につき1,000円の税金がかかります。

 

(土地と建物にそれぞれ抵当権が付いていれば計2,000円)。この税金は収入印紙で納付します。司法書士に依頼せず自分で行う場合は費用1,0002,000円程度で済みます。

 

一方、司法書士に依頼した場合は、上記に加えて司法書士への報酬が発生します。抵当権抹消のみを依頼する場合の報酬相場は12万円前後です(不動産の数や事務所によります)。

 

多くの場合、売買に伴う所有権移転登記と合わせて依頼するため、抹消単独の費用が目立つことはないかもしれませんが、事前に見積もりを確認しておくとよいでしょう。

 

司法書士に任せれば書類の受け取りから申請まで代行してくれるので安心ですが、費用を抑えたい場合は自分で手続きを行うことも可能です。ただし書類不備があると手続きが遅れるため、不安な場合は専門家に任せた方が結果的にスムーズでしょう。

 

まとめると、住宅ローンが残っている不動産を売却する際は「ローン残高の把握」と「抵当権抹消書類の準備」がポイントになります。

 

売却代金でローンを完済し、確実に抵当権を抹消することで初めて買主に権利を引き渡せますので、金融機関とも綿密に連絡を取り合って準備してください。

 

その他のケースにおける追加書類

様々な不動産の状況を示すイメージ、書類の束

上記以外にも、不動産の状況によっては追加で準備すべき書類があります。特殊なケースではありますが、該当する場合は早めに確認しましょう。

 

共有名義の不動産を売却する場合

物件が共有名義(例:夫婦や兄弟で共有)の場合、共有者全員の同意と書類が必要です。基本的な必要書類(本人確認書類・実印・印鑑証明書など)は各共有者それぞれについて用意します。

 

また、売買契約の締結や決済時には全員が立ち会い署名押印するのが原則です。もし一部の共有者が当日立ち会えない場合は、不動産売却に関する委任状を作成し、代理人(通常は他の共有者や司法書士)に手続きを委任することになります。

 

委任状には本人の実印押印と印鑑証明書の添付が必要です。いずれにせよ、共有者間で事前によく話し合い、全員の合意を明確にして書面化しておくことが大切です。

 

マンションを売却する場合(管理規約等)

区分所有マンションを売却する際には、物件固有の書類として管理規約や使用細則、維持費関連の書類などが必要になります。

 

具体的には、「管理規約」「管理組合の議事録(直近の総会資料)」「管理費・修繕積立金の納付状況がわかる書類(領収書や残高証明)」などです。

 

これらは買主がマンションの管理状況やルールを把握するために重要です。通常、分譲時に配布されたパンフレットや重要事項説明書、マンションの購入時契約書なども参考になります。

 

手元にない場合は、管理組合や管理会社に相談すれば写しをもらえることがあります(再発行に数日かかることも)。マンション特有の書類は意外と多いので、早めにチェックリストを作り漏れなく集めましょう。

 

建物がある不動産の場合の書類

一戸建てや建物付きの土地を売却する際には、その建物に関する書類も用意します。建築確認済証および検査済証は、建物を新築した際に交付される証明書で、建築基準法に適合していることを証明します。

 

平成以降に建築された建物ならほぼ存在する書類で、買主は増改築の履歴や違法建築でないかを確認するために提示を求める場合があります。手元にある場合は準備しましょう。

 

また、建物の設計図書や間取り図、工事記録書などもあれば用意します。中古住宅では必須ではありませんが、買主へのアピールポイントや説明資料として役立ちます。

 

土地のみを売却する場合の書類(測量図・境界確認書)

土地を売却する際、特に隣地との境界が明確でない場合には注意が必要です。土地の境界トラブル防止のため、測量図(地積測量図)や隣接地主との境界確認書を準備することが望ましいです。

 

過去に分筆や地積更正登記をしていれば法務局に「地積測量図」が備え付けられていることがあります。それがない場合や境界標が不明瞭な場合は、土地家屋調査士に依頼して測量を行い、境界確定をしてもらうことになります。

 

測量には現地立会いや隣地所有者の合意が必要で、13ヶ月程度と費用も数十万円かかる場合があります。

 

しかし境界をはっきりさせておくことは売却後のトラブル防止に有効です。買主の金融機関から測量を求められるケースもありますので、境界が曖昧だと感じたら早めに専門家に相談しましょう。

 

既に隣地との間で取り交わした境界確認書がある場合は、それも重要書類ですので提示できるようにします。

 

物件の設備表・物件状況報告書

仲介で売却する場合、売主は物件の設備の状態や不具合、雨漏りやシロアリ被害の有無などを買主に報告する義務があります。通常、不動産会社と媒介契約を結ぶ際に書式を渡され記入しますが、過去に取得した時のものがあれば参考にしましょう。最新の状況で改めて記載します。

 

農地の場合の書類

福島市で農地を売却する場合、農地法の届け出や許可申請書類(農業委員会への届出書など)が必要になることがあります。ただし、これは不動産取引の書類というより行政手続きなので、該当する方は仲介業者や行政に確認してください。

 

耐震診断報告書やアスベスト調査報告書

古い建物の場合、買主から耐震性やアスベスト使用有無について質問があることがあります。公的な診断を受けたことがある場合はその報告書を用意しましょう。

 

以上のように、物件の種類や状態によって追加の書類が求められるケースがあります。「自分の物件にはどんな書類が必要か?」については、最終的には不動産会社の担当者にも確認しつつ、漏れのないよう準備を進めてください。取得に時間のかかる書類(測量や許可関係など)は特に早め早めの対応が肝心です。

 

書類を紛失した場合の対応策

書類が見つからない時のイメージ、困っている人のイラスト

必要な書類が見当たらない、失くしてしまった――そんな場合でも落ち着いて対処すれば大丈夫です。ここでは主要な書類を紛失した場合の対応策と再取得方法、必要な時間・費用の目安を解説します。

 

権利証(登記済権利証)を紛失した場合

権利証は再発行ができないため、代替手段で対応します。具体的には「事前通知制度」か「本人確認情報制度」のどちらかで登記手続きを行うことになります。

 

事前通知制度とは、登記申請後に法務局から所有者宛に郵送される確認書に返答する方法で、費用はかかりませんが手続きに2週間前後余計に時間がかかります。

 

一方、本人確認情報制度とは、司法書士や弁護士などの有資格者が本人確認を行い報告書(本人確認情報)を添付して登記申請する方法です。

 

こちらは迅速に進められますが、専門家への報酬が発生し、費用が高額になる傾向があります。報酬額は依頼先によりますが10万円近くになることもあります。ただし、公証人役場で本人確認手続きを行う場合は手数料約3,500円と比較的安価で済みます。

 

権利証を失くしたと気付いたら、早めに信頼できる司法書士等に相談し最適な方法を検討してください。なお、登記識別情報(12桁の番号)を紛失・漏洩した場合も対処法はほぼ同様です。第三者の不正利用を防ぐため、法務局に失効申出を行うこともできます(手数料不要)。

 

固定資産税納税通知書を紛失した場合

自治体から送付された原本は再発行できませんが、同等の情報が得られる固定資産課税台帳の写し(名寄帳)や固定資産評価証明書を取得することで対応可能です。

 

福島市では資産税課や各支所窓口で名寄帳・評価証明書を1300円で交付しています。申請の際は本人確認書類を持参しましょう。また、納付書を紛失していても再発行してもらえますので(滞納にならないよう注意)、必要に応じて問い合わせてください。

 

不動産の売買契約書(過去分)を紛失した場合

購入時や過去の売却時の契約書を紛失した場合、売却手続き自体には大きな支障はありません。ただし、前述のように譲渡所得税の計算などで取得費を証明する資料がなくなるため、可能ならば当時仲介を担当した不動産会社にコピーが残っていないか問い合わせてみましょう。

 

仲介業者には重要事項説明書等の5年間保存義務がありますが、契約書は保存義務期間を過ぎている場合も多いです。

 

見つからない場合は、税務申告で概算取得費(売却額の5%を取得費とみなす)を適用する方法もあります。いずれにしても、売却手続きそのものは問題なく進められるので安心してください。

 

測量図・境界確認書を紛失した場合

法務局備え付けの「地積測量図」は登記事項証明書と同様に再取得できます

自分で保管していた境界確認書等を紛失した場合、再度隣地の方に署名捺印をお願いするのは現実的ではないため、コピーがないか不動産会社や土地家屋調査士に確認します。最悪、測量からやり直すことも考えられるので、紛失が判明した時点で早めに専門家に相談してください。

 

その他の書類紛失

印鑑証明書は紛失しても再取得すれば問題ありません(むしろ発行から3ヶ月以内の新しいものが必要)。住民票・戸籍類も同様に再度役所で発行可能です。本人確認書類(例えば運転免許証)を失くした場合は、警察署や運転免許センターで再発行手続きを行いましょう。

 

マイナンバーカードの場合は市役所での再交付申請が必要で、交付まで数週間かかりますので早急に手続きしてください。その間はパスポートなど他の身分証で代用します。

 

司法書士等専門家への依頼

重要書類を紛失した場合、自力で対応が難しいときは司法書士に相談するのが近道です。司法書士は登記のプロであり、必要書類の収集代行や、紛失時の特別な手続き(例えば権利証紛失時の本人確認情報の作成)も行ってくれます。その分報酬はかかりますが、確実に手続きを進めることができます。

 

先述のように、本人確認情報の作成は報酬が10万円近くになるケースもありますが、安全に売却を完了させるための選択肢として検討しましょう。

 

また、相続登記や抵当権抹消など複雑な手続きを一括して依頼すれば、個別に依頼するよりも効率的で安心です。費用については事前に見積もりをもらい、納得した上で依頼すると良いでしょう。

 

まとめ:必要書類を早めに準備してスムーズな売却を

必要書類のチェックリストのイメージ、スムーズな売却のイメージ

不動産売却に必要な書類について、福島市でのケースを中心に解説してきました。ポイントは「必要書類の早期把握と計画的な準備」です。以下に本記事の要点を整理します。

 

基本的な必要書類

本人確認書類、権利証(登記事項証明書)、固定資産税納税通知書、実印・印鑑証明書、場合により住民票や過去の契約書、ローン残高証明書など。

 

早めに手元に揃えて、不備や期限切れがないか確認しておきましょう。特に印鑑証明や住民票は発行3ヶ月以内のものが必要になるため、売買契約が近づいた段階で取得します。

 

相続物件の場合

相続登記が済んでいるか確認し、未了なら戸籍類・遺産分割協議書など相続関係書類を準備して名義変更手続きを行います。相続登記には時間がかかることもあるので、売却を検討したらまず相続手続きを優先しましょう。福島市では固定資産評価証明書が1300円~取得できます。

 

住宅ローン残債がある場合

ローン残高証明書を入手し、完済計画を明確にします。抵当権抹消のための書類を金融機関と打ち合わせ、決済日に確実に受領できるようにします。抵当権抹消登記の登録免許税は不動産1件につき1,000円なので、土地建物一式で2,000円程度+司法書士報酬を念頭に置きます。

 

ケース別追加書類

共有名義なら全員分の書類・同意、マンションなら管理規約等、建物付きなら建築確認証、土地のみなら測量図などが必要になります。それぞれ関係者や専門家に問い合わせて取得・再発行の手続きを進めましょう。測量など時間を要するものは事前に要否を確認することが重要です。

 

書類紛失時の対応

紛失が判明したら慌てずに、再取得可能か、代替手段はあるかを調べます。登記事項証明書や評価証明書は取り直せばOK。権利証は事前通知や本人確認情報で対処可能。困ったときは専門の司法書士に相談し、必要に応じて依頼するのも有効です。

 

最後に、書類を準備する際のチェックリストを活用すると漏れ防止に役立ちます。例えば以下のようなリストを作成しておくと安心です。

 

  • 登記事項証明書(最新のもの)

  • 登記済権利証または登記識別情報通知

  • 本人確認書類(運転免許証など現住所記載のもの)

  • 実印・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)

  • 固定資産税納税通知書(最新年度版)または評価証明書

  • 住宅ローン残高証明書(ローン利用中の場合)

  • 被相続人の戸籍謄本類(相続登記未了の場合)

  • 遺産分割協議書(相続人複数の場合)

  • 建築確認済証・検査済証(建物有の場合)

  • 管理規約・維持費明細(マンションの場合)

 

上記を参考にご自身のケースに合わせて項目を追加し、早めにチェックを始めてください。書類が揃っているかどうかで、売却スケジュールのスムーズさが大きく変わってきます。

 

必要書類の準備は煩雑に感じるかもしれませんが、一つ一つ確認しながら進めれば必ず揃えられます。早めの準備と専門家への相談でリスクを減らし、安心して不動産売却に臨みましょう。

 

不動産売却に関わることでお悩みの方は、ぜひ一度当社株式会社WIREDへご相談下さい。

 

当社はスタッフ全員が福島市出身の宅建取引士であり、豊富な売却実績は1200件に上ります。

営業マンではなく、良き相談相手としてどんなご不安・お悩みにも真摯に寄り添い、サポートさせていただきます。

 

※本記事に記載の費用・期間は執筆時点での目安です。実際の金額や手数料は、各窓口や公式ウェブサイトで最新情報をご確認ください。

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